経営者は後継者に継がせたくない!?

公開日:2015/08/24

更新日:2019/04/16


こんにちは。

売上と社員のやる気を一度に伸ばす事を支援する
ウィズスマイル降旗(ふるはた)です。

事業承継をしたい。
後継者が頼りない。

経営者、社長の方が口にする言葉です。

しかし、、、

経営者、社長は、
実は後継者に継がせたくない、
と思っていると言ったら、、、

あなたは
「そんなバカなことがあるか!」
と反論したくなるでしょう。

私も、そんなことはありえない、
と思っていました。

しかし、あの記事を読んだ後、
自分の身にかつて起こったことを考えると、
当たらずとも遠からずだと、合点がいきました。

その記事というのは、

元首相 田中角栄氏について、
小沢一郎議員が、
その素顔を伝えるとして取材された週刊新潮の回顧記事。

 

田中角栄氏は、首相を辞任後、
ロッキード事件で起訴されます。

この時、自民党の田中氏の後継者は、
まだいませんでした。

で、小沢一郎氏をはじめ、
何人かは考えたそうです。

後継者がおらず、
ロッキード事件の裁判を抱えていては、
田中の派閥から人は離れるばかりだと。
田中派を守るためには、後継者が必要だと。

で、竹下氏を押して勉強会を設けました。
これが後の経世会。

後継者を据えることに、
田中氏は激怒したそうです。
小沢氏が説得しても、ダメだったそうです。

この状況で経世会が出来上がり、
結果として田中派を乗っ取る形になりました。

田中氏への説得が足りなかったと、
小沢氏は悔やんでいるのですが、、、

この状況を小沢氏は、

「考えてみれば、
権力者にとって後継者をつくることは、
自分の求心力がなくなることだという意識なんだな。
これは権力者は誰でもそう思うらしい。

なるほどオヤジもそうだったんだなあと、
後で思うとね」と。

(週刊新潮
私が仕えたオヤジ「田中角栄」の素顔 小沢一郎(聞き手:鈴木 哲夫)より引用)

これを経営に当てはめると、
経営者、社長は、
実は後継者に継がせたくない、
と思っていることに当てはまります。

「降旗先生。
政治とビジネスの世界は違いますよ!」
とあなたは言うかもしれません。

ビジネス、事業、会社において、
権力者は、経営者、社長です。
これは揺るぎのない現実です。

後継者に譲った後も、
会長として代表権をもち、
後継者の経営を自由にさせずに仕切る方が、
実際にいることは少数例ではありません。

良いとか悪いという話ではなく、
実際に二重権力構造になっていたり、
後継者の経営を制限している場合がある、
ということです。

私に実際に起こったことを考えてみても、
政治と経営は違うとは、
割り切れないと思います。

いや、人がやっている以上、
感情、心理面は、全く同じだと思います。

 

私は、赤の他人の社長から、
事業承継を受けました。

事業の方向と範囲は、
ざっくり決まっていましたが、
実行については任せると、
お墨付きをもらっていました。

しかし、蓋を開けると、
私を飛び越して部下に指示をする、
なんてことが頻繁にありました。

部下も困っていましたが、
いかんせん、混乱を招くばかりでした。

社長に意見をすると、
「君の事業のプラスになると思ったから」
なんて言われました。

それなら、私に言えばいいのに、
変ですよね。

結局、最後の最後に、
任せた事業は、社長が自分でやりたいから、
と言うことになったんですけれどね。

任せると言いながら、
現実には、任せていないんです。
任せられないのです。

社長自身のアイデアが素なので、
そこで別世界の人間が成果を出すと、
自身の求心力を失うと考えたのでしょう。

事業を実現したい、
自分ではうまくできない、
だから任せたい。

こんな話だったのに、
現実には違うんです。

事業を実現したいというより、
事業を実現した自分がいるようにしたい
ということなのでしょう。

最後の最後は自身のエゴが勝った、
ということなのでしょう。

なんども言いますが、
これが良いとか悪い、という話ではありません。

自分の年齢を考えても、
後継者が継ぐことは必要だということは、
痛いほどわかっていると思います。

しかし、
自分の求心力は失いたくない、
自分は誰からもすごいと認められる経営者でいたい、
という思いは捨てられない

当然だと思います。

しかし、後継者に事業承継をして、
後継者が経営をしなければならないのです。

この経営者、社長の心の葛藤、
心の中で繰り広げられる矛盾を克服しなければ、
最後は田中角栄のように、
求心力の対象すら失う可能性があります。

この葛藤を克服するには、
事業承継をする前から、
経営者、社長がやっておくことがあります。

経営者、社長のうちに、
事業、経営の将来の姿を明らかにして、
その実現を、後継者とともに、
今から目指す行動をすることです。

以前の投稿記事、
後継者と前の経営者が共に評価される方法
に記載していますので、
詳しくはそちらを読んでくださいね。

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