人を活かすために重要なコト:人の採用と育成(11)

こんにちは。

売上と社員のやる気を一度に伸ばす事を支援する
ウィズスマイル降旗(ふるはた)です。

人の採用と育成に関するシリーズの
今回は第11回目です。

人を採用した。
その人が働き始めた。

そして、
成果を出してくれた。

この様な人材に
あなたはどの様に
対応するでしょうか?

対応を誤ると、
取り返しがつかないことになり、
業務に滞りが生じます。

それを避けるのは、
実は難しいことではありません。

【今回の内容の動画】(動画再生時間:13分38秒)

(BGMには、音楽素材MusMusの楽曲を使用しています)

卵2つの故事

次の中国の故事をご存知でしょうか?

「孔子」の孫の子思(しし)が、
衛(えい)の国の王に仕えていた時。

子思が勾変(こうへん)という男を、
将軍に抜擢しようとしました。

衛の王は、子思の提案に対して、
「あの勾変という男は、
下っ端役人だった頃、
物納された卵を二個を
無断で飲んでしまったことがある。

そのような男を
抜擢することには反対である」
と意見しました。

子思は、
「立派な大工は木を選ぶ時、
短い木を捨て長い木を選ぶ。

長ければ少々腐った場所があっても、
削りとれば使えるからだ。

今の戦乱の世に、
たった二つの卵のために、
国を守る優秀な人材を用いない。

このような不見識を
隣国に知らすべきではない」と。

これは
「二卵を以って干城の将を棄(す)つ」
の故事です。

 

できる人を採用

次は私の知人からの話。

中途で採用した
ある分野の専門家のCさん。

知人の知り合いだそうです。

それまで独立して
仕事をしていたCさんを、

その会社の役員が
なんとか口説いて、
子会社の業務をやるために採用。

副業の禁止規定がない親会社に採用し、
その上で子会社に出向させました。

Cさんの働きは目覚ましく、
それまで滞っていた業務を
スッキリ解消。

さらに周囲の部署にも
影響をおよぼし、
種々の問題・課題を解消しました。

難題だった
専門領域の課題も解消し、
Cさんは社内で社長から表彰されました。

部下だけでなく、
他部署の社員、
さらには取引先からも信頼されました。

採用した時の経緯、
採用以前のお客様との関係、
その上に、Cさんの家庭の事情があり、

休日と時々の有給休暇の時に、
Cさんは以前からの
自分の仕事を細々とやっていました。

会社の業務と
Cさんの以前からの仕事は、
業務で競合するコトも
影響を与えるコトもありません。

副業禁止規定がないので、
親会社の社員であるCさんには、
何も問題が生じることもなく、
時間が経って行きました。

 

選択した事柄

しばらく経ったのち、
会社の都合で、
親会社を子会社に吸収合併しました。

副業禁止規定がある子会社が
存続会社になりました。

当然、Cさんは、
子会社に転籍となり、
子会社の社員に吸収されました。

転籍時に、
会社からCさんへは、
禁止規定の相違などの説明は
一切ありませんでした。

Cさんは今までの業務を続け、
相変わらず社内で成果を出していました。

この会社、
ある時から社員調査を実施。

その過程でCさんが
以前のご自身の業務を
副業として行なっていたことが
明らかになりました。

それも、
親会社に在先時の話です。

Cさんは人事部長に呼び出されました。

そして、
「始末書・顛末書を提出しろ。
今後は一切副業の様なことは禁止」
といきなり宣告されました。

人事部長は議論や
調整の様なことには
全く応じなかったそうです。

家庭の事情や、
以前のお客様のこと、
親会社在籍時でのことを
Cさんは説明しますが、

人事部長は
応じることがなかったそうです。

業務を続けるための
なんらかの調整や
話し合いは一切なく、

ただただ、
「始末書をかけ。
副業は禁止だ」
の一辺倒だったそうです。

この一方的な対応を受け、
家庭の事情もあったCさんは、

「丁度良い機会かもしれないし、
このまま始末書を書いても
変なレッテルを貼られるだけだ」と、
やむなく退職することを
選択したそうです。

 

社内は騒ぎに

社長と役員が焦りました。

スンナリ始末書を書く
と思っていたのに、
想定外の退職を
選択されたからです。

始末書を書くと思っていたので、
後任のことも、
引き継ぎのことも、
何も考えていなかったからです。

せめてもの救いは、
Cさんが退職時期は
後任等のことも考慮して、
対応してくれることでした。

ここで取締役の一人が
焦ったために
勇み足をしてしまいます。

Cさんの退職を
社内に公表する前に、

一人の役員が、
「Cさんが辞めたら困るよねぇ。
業務が大変なことになるよねぇ」
と社員に尋ねたそうです。

Cさんの部下を含む社員の返事は、
「えっ!Cさん、辞めるんですか!」
と当然なります。

話を聞いた社員は全員
「それだと業務が
回らなくなります!困ります」
と答えたそうです。

その状況に焦った役員が
辞めることを濁し否定するので、
ますます話は真実として
広がっていきました。

社内に退職を公表する随分前から、
Cさんのコトは公然の秘密となり、
当然のように騒動になりました。

 

退職日を迎える

Cさんからの説明を聞くとか、
始末書だけでなく
他の道を探る様などの
調整の場を設けることももなく、

会社側は退職を
受けてしまっていました。

今更、Cさんと
社長や役員が話し合うコトは
ありませんでした。

もし機会を設ければ、
Cさんはテーブルに着いたと
その時言っていたそうです。

しかし。

「始末書を書け。副業禁止」
を一方的に宣言してしまい、

さらに、Cさんの退職の意向を
そのまま受けれてしまったので、

そこから話し合いの機会を設けることは
会社、経営側の面子丸潰れと
社長、役員、人事部長は考えた様です。

たった1回の
Cさんと人事部長の面談だけで
Cさんの退職は決定してしまいました。

その後、
退職日が決まらないまま、
数ヶ月が過ぎたそうです。

その間、後任も決まらず、
引き継ぎもなく、
時間だけが過ぎるなか、

それでも業務に支障が出ない様に、
Cさんは色々準備をしたそうです。

その状況の確認も何もなく、
ある時、人事部長から、
「翌月末で退職です」と
告げられたそうです。

そして、
退職のための事務処理が進められ、
引き継ぎの後任も定まらないまま、
引き継ぎも行われないまま、
退職日が訪れ、
Cさんは退職しました。

その後、その会社では、
Cさんの後釜は見つからず、

なんとか人をあてがっても
Cさんの働きにはおぼつかず、

結果、後任はどんどん入れ替わり、
業務は混乱しているそうです。

 

重要なことは何か?

中国の子思の故事。
私の知人の話。

あなたは何を感じたでしょうか?

会社にとって重要なコトは、
一体何なのでしょうか?

過去の過ちを
今になって取り上げ、
糾弾することでしょうか?

就業規則の様な
社内のルールを守らせることでしょうか?

社長・役員は
過ちを絶対に侵さないほどの
聖人君主なのでしょうか?

社内のルールは、
社長、役員、人事部長は、
絶対に守っていて、
逸脱することは絶対にないのでしょうか?

会社のルールの多くは、
会社が定めただけのルールでしかないのに、
それに社員を絶対的に従わせるコトが
重要なコトなのでしょうか?

業務で成果を出すコトが重要、
会社の業績にプラスになるように、
社内の仕事を動かすコトが重要
なのではありませんか。

誤解を招かない様に補足すると、
社内のルールに従わなくて良い、
ということではありません。

法律に抵触することではなく、
社内のルールとの兼ね合いならば、

会社にとって
重要なことを実現できる様に、
会社のルールを変えれば良い
ということです。

あるいは、
ルールに抵触しない
他の方法、手段で行う様に
すれば良いことだということです。

Cさんの例ならば、
話し合うことで
始末書を書いてくれることに
なったかもしれません。

あるいは、
業務委託に変更することで、
業務への対応が続き、
混乱することはなかったでしょう。

会社にとって
何が重要なコトなのか、
それがわからなくなっています。

細事にとらわれ、
大事を見失っています。

わずかな、どうにでもなるコトに
手を下さずに、
自分たちを窮地に陥れています。

何を重要に考えて
あなたの経営・事業を観るのか。

これが定まるだけで、
経営・事業の停滞や衰退、
滞りを避けるコトができます。

必要なコトに向けて、
必要なコトをできるようになります。

そのための必要な人材を得て、
人を活かすことができる様になります。

必要なことの実現のために
人を活かすことができる様になります。

あなたの会社に
成果、結果をもたらすのか、
それとも、
業務の滞りという
混乱をもたらすのか。

ほんのわずかな違いです。

社長、経営者が
何を重要と考え、
何を優先して考えるのか。

その点が明確になっていて、
重要な点に沿って
実際の決定、行動ができるかどうか、
この差、違いだけのことです。

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