成果につながる「問題を提起する」とは:社長の経営講座

こんにちは。

売上と社員のやる気を一度に伸ばす事を支援する
ウィズスマイル降旗(ふるはた)です。

問題を提起することが重要だ
と私たちは考えています。

問題を提起し、それを解決することで、
より良く改善、改良ができる
と考えています。

このこと自体は
「その通り!」です。

しかし、問題提起をしたと
勘違いをしているケースが
そもそもですが多いことが現実です。

【今回の内容の動画】(動画再生時間:14分35秒)

私たちがしてしまいがちな
不十分な問題提起とはどのようなことなのか?

本来は、どのような内容が
適切な問題提起なのか?

今回はこの点を明らかにして、
あなたと共有をします。

自動ドアが壊れた!

実際にあった話をしますので、
少しお付き合いください。

マンションの入り口にある
自動ロック式のドアが、
左右から途中まで
開け閉めを繰り返し、
閉まらなくなりました。

防犯上よろしくないです。

さらに、開け閉めを繰り返す途中で、
万が一急に閉まると
事故になり危険です。

業者に急遽点検を
してもらったところ、
すでに設置後、
かなりの年月が経っており、
駆動部の部品が劣化しているとのこと。

すでに部品も供給されておらず、
センサーなど駆動に関わる部分を
全て新品に取り替える必要がある
とのことでした。

詳細な見積もりを取ったところ、
工賃等を含め約百万円程度です。

至急工事を行うため、
臨時で総会を開催すること
になりました。

総会当日。

業者が来てくれて、
状況の説明、工事内容、
費用の明細の説明をしました。

質疑応答になった時、
出席者のある方。

「他の方は調べていないと思うけど、
 ネットで調べたら、
 同じ機材で60万円ぐらいで交換できる
 という内容があったんですよ。

 これ、なんでこんなに
 価格が違うんですかねぇ」
と発言し、そのネットのページを
スマホで見せてくれます。

そこに書かれている内容は、
同じ型式のモーターなどで
取り替え工事をした場合の
価格が表示されているだけです。

センサーなど、
細かい部品の価格や
工事費などの費目もなく、
合計額が出ているだけです。

「そこには工事費や
 センサー類の費用など、
 どこまで含まれているのか不明です。

 当方はこの内容で、
 他の場合もお見積もりを算出して
 出しておりますので」と業者の回答。

今回の見積もり明細の
機器類部分を憧憬すると 
およそ60万円程度になります。

そこに工事費等を加えると、
もろもろで百万円程度になります。

あながち外れた回答
というわけでもありません。

かたや発言をした方は、
「この60万円ぐらいに工事費も
 含んでいるんじゃないの?
 これで替えたと書かれているし」と。

「しかし、明細がわからないので、
 なんともお応えが難しいです」
と自動ドアの業者さん。

発言した住居者の方は
「そうは言ってもねぇ・・・」
とモゴモゴ。

そこから先は発言もなく、
工事は早急に実施ということで
この議題は終了しました。

発言をした住人の方は、
ご自身で調べてくださり、

もっと安く
発注できるのではないか?

相見を取るなどを
やった方が良いのではないか?

という問題提起をした
ということなのでしょう。

さて。
あなたはこの問題提起を
どのようにとらえるでしょうか?

高く評価をするのか?
それとも別の評価をするのか?

いかがですか?

 

問題提起にならない!

調べてくださったこと。

その結果を発言してくださったこと。

もっと安くなるのではと
指摘くださったこと。

今回の話の
マンションの自動ドアの件では、
これらのいずれもが、
それ自体は尊いです。
ありがたいことです。

尊いですしありがたいのですが、
同じような観点で、
事業や経営、ビジネスについて
問題提起をとらえると、

全くズレていると
私は考えています。

問題提起とは、

”問題や課題を
解決すべき事項として投げ掛けること。
議論を行うためのたたき台として、
疑問を投じること。
論述の冒頭などでしばしば用いられる。”

と説明、定義されています。

これが問題だ!と
問題点と考えられる事象を提示すること。

これが問題だから
議論をする必要があると疑問を提示すること。

ということです。

先ほどのマンションの
自動ドアの場合は、

ネットで調べた内容と比べると
この見積もりは高い!
という点が問題だ。

価格が高いという事象を
問題だと提示したわけです。

今回の見積もり金額は高いので、
安くすることを
総会などで議論する必要がある、
という疑問を提示したわけです。

しかし。

疑問を提示しましたが、
そのあとに議論には
なりませんでした。

問題提起をしながら、
問題として扱うことが
できなかった
ということです。

これでは
問題提起にはなりません。

 

不満、不服、批判!?

「問題提起」の
先ほどの定義の様に、

私たちは問題を提示すること
が問題提起だと考えています。

ゆえに、先ほどの
マンションの自動ドアの場合も
修理の見積もりが

ネットで調べた情報と比べて高い!
もっと安くなるのではないか!
と提示することで、

マンションの住人にとって
ご自分が有益な問題提起をした
と考えているわけでしょう。

しかし実際には、
問題提起にはなっていません。

簡単にいうと。
問題提起ではなく
自分が見積もりに対して抱いた
不満、不服、批判を表明した
というだけです。

なぜ問題提起にはならず、
不満、不服、批判にしか
ならないのでしょうか?

問題提起に足りないこと

簡単にいうと、
解決するための道筋が
そこには含まれていないからです。

単純に合計金額が
見積もりの方が高い!
と言っているだけです。

問題を解決するという観点に立つと、
なぜ見積額はこの金額なのか?
ネットで調べた内容は
見積額に対して6割程度の金額なのか?

この点を明らかにした上で
だからこの点が問題だと思うから、
その点を議論するとか、
検討し直してもらう様にしよう、
ということが必要です。

この様な説明をすると、
ビジネスシーンでは、
問題だなぁと思っても、
その解決策、根本的な解決策までは
わからないことも少なくない。

それゆえに、問題を提起して
解決策が提示できるに
越したことはないけれど、

それ難しいだろうから、
問題を投げかけるだけでも
十分に価値がある、
と説明する向きもあります。

これが当てはまるのは、
新入社員ぐらいまです。

問題を提起するときには、
自分が考える解決策や
解決の方向性が伴うことは
必須だと考えています。

検討するために必要なこと

マンションの自動ドアの件で
考えてみましょう。

先ほどの臨時総会での
「見積もりが高い」という点。

解決の方向性は、
何らかの費目をより安くしてもらい、
全体の費用を下げる、
ということでしょう。

当たり前
といえば当たり前ですが。

とすると、
そもそもですが、
ネットで表示された費用の明細を
明らかにする必要があります。

ネットで調べた価格に
どの費目が入っているのか
わからなければ、
価格の妥当性も見当がつきません。

どの費用が下げられるのか
誰にも検討がつきません。

検討がつかなければ、
解決のための検討を
することができません。

検討をすることができなければ、
問題を提起しても
何も解決できません。

問題を提起した意味が
ありません。

ということは。

ネットで交換費用を
提示している会社に問い合わせて、
費用の明細をもらうとか、

こちらの見積もりの
費用明細をその会社に提示して、
該当する明細に対する費用を
概算ででも提示してもらうとか。

この様にすることで、

提示された今回の見積もり業者も
どの費目を再検討します
と回答できるかもしれません。

実際に検討して、
価格を下げる工夫を
するかもしれません。

あるいは、
マンションとして、
他の業者から相見を取ろうと
なるかもしれません。

解決に向けた検討が可能になります。

 

問題提起プラス・・・

もちろん。

検討した結果、
解決する、

すなわち、
見積額が今回の提示額より
安くなることは
ないかもしれません。

しかし。

問題が提起され、
それに対して検討を行い、
結果を得た、
ということになります。

これは、適切かどうかは
一旦脇に置いて、

問題だと考えた事象に対して、
解決する方法、方向性を

問題ととらえた方が自分なりに考え、
必要な内容を調べる、調査をして、

その点を含めて
問題提起を行うからです。

これに対して、
解決の方法や方向性を
考慮せず、準備をせずに、

「これは問題だ!」と
ただ提示しただけの場合が、
今回の事例として
最初に取り上げた状態です。

「見積額が高い!
もっと安くなるのではないか?」
と問題を提起しましたが、

たいした議論にならず、
なんとなく流れてしまう、
ウヤムヤになってしまう状況です。

経営、事業、ビジネスの場面で
考えたとき、

解決に向けた議論や
行動につながる問題提起と

問題は提起されたけれど
その先モヤモヤになり
議論につながらない問題提起と、

あなたはどちらが
好ましいと考えるでしょうか?

答えは明らかだと思います。

解決に向けた議論や
行動につながる問題提起をするならば、

問題と考える事象に対して
解決の方法や方向性を
適切かどうかは
一旦脇においた上で
自らの考えとして明らかにし、

問題提起+
自らが考える解決方法、方向性
を提示する必要がある
ということです。

解決策、解決の方向性を含む内容が、
経営、事業、ビジネスにおける
「問題提起」です。

単に「これが問題だ!」というのは、
問題提起ではなく、
単なる不満、不服、
批判の表明でしかない、
ということです。

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