解決策を考える時に容易に忘れる重要点。解決策が効果的に働かない原因(7)

こんにちは。

売上と社員のやる気を一度に伸ばす事を支援する
ウィズスマイル降旗(ふるはた)です。

経営や事業、業務をやっていると、
問題、課題、あるいは不都合なこと、
とり除きたいことが生じます。

そのために解決策を考え出し、
それを講じるわけですが、
なかなか成果結果が出ない状況に
陥っていることは少なくありません。

では、成果、結果につながる解決策。

これをどのように考え、
導入したら良いのかということを
何回かに渡り、
あなたと共有をしていきました。

今回、更に重要なポイントを
あなたと共有したいと思います。

返却の作業状況

これは直接、解決策の話ではないのですが、
これからお話しする例を
少し一緒に考えてみてください。

ある食品や生鮮食品を
通販で提供している倉庫で起こったことです。

常温の例えばクッキー、ビスケット、お煎餅、
あるいは缶詰類を扱うと同時に、

冷蔵品、例えばかまぼこ、
豆腐、卵なども一緒に提供している、
生鮮食品を扱っている通販会社さんです。

常温帯、クッキー、缶詰などは、
そのままパッキングをしてお届けしますし、
冷蔵帯、お豆腐、卵、野菜などは、
保冷バッグに入れ、保冷剤を入れてえ配達をしています。

この保冷バッグと保冷剤は使い捨てではなく
ドライバーさんが配達を終えた後、
出荷した倉庫に戻すものです。

戻ってきた保冷バックと保冷剤は、
再利用をしています。

保冷バックはそのまま、
宛先ラベル等々を取り外し、
再度、出荷するものを入れ、使っています。

保冷剤は一旦回収したものを
倉庫にある保冷庫でもう一回凍らせ、
保冷剤として再利用しています。

ドライバーさんは、
配達が終わると保冷バックと
保冷剤を持ってきます。

それらの返却は返却場所があり、
保冷剤、保冷バッグをそこに入れます。

保冷剤は保冷バックから
プラスチックのコンテナに
ガサッと開けて返却をしています。

そうすると倉庫側では、
返却された保冷バック、
あるいは保冷剤をまとめて、
次に使える状況にして、

その次の担当者、
保冷バックを再利用するために
用意をする人たち、
あるいは、
保冷剤をもう一回冷凍庫で凍らせて、
使えるようにする人達に渡します。

気が利いた作業ですが、、、

先程お話ししたように
プラスチックの大型のコンテナに
ドライバさんが保冷剤を
ガサッと入れていくわけですから
コンテナの中にばらばらに保冷剤が入ります。

これを再利用できるように
冷凍する作業へ持っていくために、
作業者は保冷剤を全部コンテナの中に
綺麗に並べ直すことをやります。

なぜならば、
ドライバさんがガサガサと入れた状態だと
コンテナには実際に並べて入る数量の
半分ぐらいしか入らない訳です。

コンテナを一個一個
持っていくのは効率が悪いので
コンテナ幾つか重ねて運ます。
台車などに乗せて運びます。

重ねるので、ガサガサと入れた時に、
コンテナの上端より上にはみ出ると
重ねることができないからです。

ですから、
半分ぐらいの量が入ったところで少しならして、
コンテナを重ねられるようにして、
受け取ってる場所では処理をしてしまいます。

しかし冷凍するためには
バラバラのまま入れると
空間が多くて無駄が多いので、
きれいに並べたものを入ます。

さて、外でドライバさんから
保冷バッグや保冷剤を
回収している作業者たちです。

彼らは常に忙しく動いて、
保冷バッグをまとめて戻すとか、
保冷剤のコンテナを扱い、
次の冷凍する作業者のところに持っていくために
動き回っていなければならないのかというと
必ずしもそうではありません。

それなりに時間的余裕があるので
気の利いた作業者たちは、

ドライバさんが保冷剤を
プラスチックのコンテナに入れた脇で
保冷剤を綺麗にコンテナの中に
並べる作業をしていました。

なぜならば、
一つは次でどうせ並べるからで、
今、自分たちは作業がないから、
余裕があるからやるわけです。

先程お話ししたように
コンテナに保冷剤を
ガサガサと入れると、
本来並べた数の
半分も入らない訳です。

そうすると運ぶためのコンテナを
大量に用意しておかなければ、
ドライバさんは一気に戻ってきて、
ガサガサと入れていくので、
間に合わないくらいなら、

時間がある時に綺麗に並べておけば
ガサガサと入れる倍量入るわけですから、
そちらの方がコンテナは半分以下で済むからです。

さらに、
どうせ(次の工程で)並べるわけですから
“次の作業でやることを
 時間のある自分たちでやるのは
 当たり前だよね”
と思っている気の利いた作業者たちでもあったわけです。

次の作業の状況

この保冷剤を冷凍するために
作業をする人たちのところはどうなっているかっていうと
実は人員をそんなに配置されていませんまん。

入ってきたものを並べて
保冷庫に入れればいいでしょう。

(保冷剤が)それなりの数になったら
冷凍庫に入れればいいでしょう。

このような作業(と考えられているので)なので、
人をそれほど割り当てられていない訳です。

本来、保冷剤は、
それなりの数が(用意されて)
なければいけないにもかかわらず、

並べる作業が間に合わなくて
なかなか必要数を用意するためには、
常に忙しく動いていても
十分ではないことも起きてしまう
というような状態だったわけです。

作業人員が削減できる?

それぞれの作業には
その作業を管理する管理者がいます。

ドライバさんから戻った
保冷バックや保冷剤を
処理する作業の管理者、

戻ってきた保冷剤を保冷庫に入れ、
時間で冷凍し、
使えるように準備をする作業の管理者がいます。

この二人の管理者のうち
ドライバさんから戻ってきた
保冷バックや保冷剤を
整理する側の作業をする管理者の人たちが、
実際の作業現場を見て、
あることを言い出しました。

「保冷剤をコンテナの中に並べるのは、
 保冷の準備の作業だから、
 ドライバさんから戻ってきた
 (作業をする)ところで
 やる作業ではありません。

 だからやらなくていいです。

 そうしたら、ここの作業者の数を
 もう少し減らすことができますよね」
と言い出しました。

そうすると人員的に余裕ができるから、
他の作業に人を回す、

例えば、商品を棚入れをする入荷の作業とか、
お客様の注文に合わせて
棚から商品を取ってくる
ピック作業に割り当てられますよね
と言い出したわけです。

効率化のしわ寄せ

さてそれをやるとどうなるかです。

コンテナの中に保冷剤を並べる作業が全部、
保冷剤を凍らせる作業へ行ってしまう訳です。

そうすると、先程言ったように
そこの作業をする人たちは元来多くないうえに、
今の状況でも保冷剤が
間に合うか間に合わないか
ぐらいの状況で動かしています。

(保冷庫に)入れられずに
積まれている保冷剤が山積み、
たくさんある状況があるので、

さらにその状況で、
今まである程度並べられてきた保冷剤が
並べられずに入ってくると、

それを並べて保冷庫に入れる作業に
尚更負荷がかかることになります。

これは部分的に見ると、
例えばドライバさんから
保冷剤、保冷バックが戻ってくる
作業の部分で見れば、

保冷剤を並べる作業をやめるわけなので、
先程お話ししたように
作業者を減らす効果があることになります。

しかし、その分のしわ寄せが
保冷剤を凍らせ、次の出荷のために
準備をする作業に移ってしまいます。

(しわ寄せが)移ることによって
この作業が滞りやすくなります。

逆に、ドライバさんから
保冷バッグや保冷剤を引き取るところで
人を減らしたとしても、

一時的にピークはくるわけなので、
それ以外のところは
やはり作業者が作業をせずに
手持ち無沙汰でいる時間が残る状況でした。

人員削減の結果は

ドライバさんから保冷剤や
保冷バッグを引き取るところは
本当に生産性上がったよ、
無駄な作業をしなくなったよ、
作業者が最小限の作業をするだけで
効果があったことになる訳です。

しかし、全体で見通すと
実は保冷バッグを引き取る、
保冷剤を引き取る所の作業が浮いた分だけ
次の作業にしわ寄せがいき、
そこが間に合わなくなる状況に
なっているわけです。

それぞれの作業の管理者は
特に、ドライバさんから保冷剤や
保冷バックを受け取る作業の管理者が、
自分のところの作業効率ばかりを見て、
全体としてどうなっているかを
全く意識していないために、

自分が管轄している作業自体の効率は上がり、
部分的な最適化はできたけれども、
全体、ものを出荷する
全体の作業を見た時には

実は逆に滞りを生じさせる可能性が高くなる
と言えるわけです。

そして実際に何が起こったかというと、
保冷剤が不足して出荷が危機に陥る状況が
発生していたわけです。

部分と全体の視点

このように、
私たちは何か問題が起きると、

その部分、その業務、
あるいはその業務をやってる場所、区画、
この業務の関係するプロセス、
この中だけで問題を解決しようとします。

要は部分的な最適化、
この業務の部分という中での
最適化を図ろうとします。

それが先程お話ししたように
生産効率を高め、作業効率を高め、
場合によっては作業人数を減らし、
”だから効果が出るよね”というような
解決策を考えることをしがちです。

しかしそれによって、他の作業、
その下流にある作業、
あるいは場合によると
上流にある作業に影響を及ぼす
ということが少なからず起きます。

というより、ほぼ間違いなく起きます。

それによって先ほどの作業部分としては、
効率が上がった、生産性、作業効率が上がった、
あるいは、
人を減らすことができた
という効果が出たとしても、

全体の流れの中では
逆に不都合なことが発生している状況に
なってしまう訳です。

実際にどこかで解決策を講じると
それにより他のところに問題が生じることは
少なからず起きています。

それにより、
”解決策を講じたのに
 どうもうまくいかない」
という状況になっていることは
少なくありません。

ですから私たちが、
解決策を考える時に必要なことは、

問題が起きている、
その部分で解決する観点はもちろん必要ですが、

ここで完結することによって
・その前後、あるいは、さらにその先の作業に影響が出るのか、でないのか、
・その影響はどういうものなのか、
・それが不具合として問題を発生させないのか、
ということを考える必要性があります。

部分で最適化を図ることは
もちろん重要ですが、
部分で最適化を図ることにより、

その作業が関連する全体の流れに
効果をもたらすのか
全体の中でも最適化が図られるのか
という観点がとても重要だということです。

そして得てして私たちは、そのことを忘れがちです。

問題が発生している
この業務のプロセス、ここで何とかしよう、
あるいは、
問題が発生している
この作業場所の中だけで何とかしよう、

あるいは、
この問題が発生しているこの業務をやる物、
器具、道具類で何とかしよう、
ということだけを考えがちです。

しかし、私たちにとって重要なことは、
この問題が発生しているこの業務、
この部分だけではなく、

それが関連する業務全体として
どの様な効果が出るのか、
全体を通じて問題をどの様に解消するのか、

あるいは、
課題をどの様に解決するのか、
不具合を取り除くのか
ということです。

ですから常に私たちは、
部分という局所的な観点で見ると同時に、
その業務が関連する
全体を俯瞰、上から眺め、

もしここでこういうことをやると
実はここに影響が出るのではないか、
この作業がこの様に変わらないと
まずいのではないのか、
ということを考える必要性があります。

常に局所の視点と大局的な視点。

両方を持って解決策を考えることが
とても重要になってきます。

この点を私たちは忘れずに、
常に局所部分と大局、全体。

この両面で問題、課題、
不具合なこと、不都合なこと、
取り除きたいことの解決策を考えなければなりません。

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