その数字データに意味はありません!解決策が効果的に ​働かない原因(8):社長の経営講座

公開日:2021/12/15

更新日:2021/12/14


こんにちは。

売上と社員のやる気を一度に伸ばす事を支援する
ウィズスマイル降旗(ふるはた)です。

経営や事業の運営、業務をやっていると
問題、課題、あるいは不具合、
不都合なことが生じます。

これらを取り除くために解決策を講じます。

ただ、その解決策をやっても、
なかなかうまく成果が出ない
という状況に陥っていることは
少なくありません。

では、成果結果につながる解決策。

これはどうやって導き出して
導入したらいいのか
という点について、
ここずっとあなたと共有をしてきました。

今回、最後の1ポイントをあなたと共有して、
このシリーズを終了したいと思います。

数字データは優れいている?

ちょっと想像しながら
聞いていただきたいです。

実際に色んな作業をやると
それをデータ、数字として
収集することができるという場合が
少なくないと思います。

そのデータを収集すると
そのデータ結果を見て

「うまくいっている」とか
「うまくいっていない」とか、

「もっとこういう風にできる」、
「ここがうまく
 いっていないから変えよう」
というようなことを考えるわけです。

数字というデータがあると
非常にハッキリ分かるので、

それを元にして議論をすることは
非常に優れていると多くの場合、
私たちは認識をしています。

高い低いで判断、評価

倉庫の話を今までしているので、
引き続きその観点で
お話をしたいと思います。

例えば入荷してきた商品、
これを実際に通販等々で
出荷できるように
棚に入れる「棚入れ」
という作業があります。

決まった番地がふられているこの棚に
ある商品を何個入れました
ということを登録して初めて、

お客様がその商品を注文して、
買うことができるようになるわけです。

この場合、やはりある決まった時間内、

例えば30分とか1時間の間に
どれだけの個数の商品を
棚に入れられるかということが
生産性という意味では重要視されます。

そして個人個人で棚に
1時間の間に何個入れたかという
データは取れますので、
結果としてランキングができます。

例えば一時間の間に
たくさんの数の商品を
棚入れできる人は優れている。

作業効率が高いということになります。

その個数が低いと作業効率が悪い。

だからもっとその作業の
作業効率を高めるための
例えば、「再トレーニングをしよう」
というようなことになります。

更にもっと言うと、
全体として、
一時間に入れられる
商品数の平均値を上げたい、
というようなことを考え、

「あげるためにはどうしたらいい?」、
「ここまで上げると
 一体どのくらいの商品を入れれるから、

 どれだけ商品の受注に貢献できるか?」
といったようなことも考え始めます。

そして更にはそのことが
その作業者の給与に反映される。
評価に反映される、というようなことも
実際にはやっています。

ではこの作業者毎の生産性、
1時間当りに何個棚入れできるかという
この数字でデータは、
事実を表しているか?といったら
あなたはどのようにお考えになるでしょうか。

まとめて入れる

多くの場合、
数字だから比較もできるし
本当のことを表しているじゃないか
という風に考えるわけです。

次の話を聞いたら
あなたはどう思われると思うでしょうか?

例えば180ccとか200ccの
直方体のパックに入った飲料、
長方形のパックに入った飲料があります。

これはどの様な形態で入荷してくるかというと
例えば、長方形パックが
五個並んだものが四列で20個。

これがワンパックとして
入荷するケースが少なくありません。

これをどうやって棚入れをしているかです。

棚入れの早い人の中には
この5個を一度にまとめて手にとって
五個ずつ一度に棚に入れる
ということをやる人もいる訳です。

そうすると五個で四回作業すれば
二十個入ることになります。

では例えば、
(両手の親指、人差指で輪を作った)
このくらいのサイズのカップ麺が入ってくると、

カップ麺は箱の中で大体二段で積んでくるので、
二つずつ取って一度に棚入れするのが精一杯です。

そうすると、二十個入れるためには
入れる作業を何回
やらなければならないかというと
10回やることになります。

片やこの小さいパック飲料ならば五個ずつ四回。

このカップ麺だったら二個ずつ十回やらないと
同じ二十個の数が棚入れできない
ということになります。

さらに言うと、
通常は商品を何個かまとめて入れると
ミスをすることが少なくありません。

それなので、基本的には
原則、(商品を)一個ずつ
棚に入れる作業をするように
大体はなっているものです。

ただそうは言っても先程お話ししたように、
「一時間あたりに例えば、
 何個棚入れをしなければならない。
 それが平均以上だ」ですとか、

たくさん入れれば評価が高くなる
とうことが裏にあるので、

どうしても先程お話ししたように
まとめて入れられるものは
まとめて入れることをしたがる作業者も
出てくるわけです。

その判断に意味がない!

そうするとここで、二つの問題が出てきます。

一つは先程お話ししたように
商品のサイズによって
同じ数を棚に入れるといっても

場合によると
作業をする作業効率が
全く違うケースが出てきます。

そしてもう一つは、
本来は(商品を)一つずつ
(棚に)入れなければいけないにもかかわらず、

それをまとめて(棚に)入れることにより
作業効率が高いように見せることもできてしまう
ということです。

これは先程の商品のサイズによる違い、
棚入れが一度にできる数が違う
というお話をしましたが、

(商品を)一個ずつ(棚に)入れるにしても
当然小さな商品をこの様に素早く入れるケースと、

そこそこの大きさのものを入れるのでは
若干のスピードの差はどうしても出ます。

そうすると、違う商品を入れるとなると
同じ個数を入れるにしても、
例えそれを一個ずつ入れるにしても
作業時間には差が出てきます。

逆に言うと、
単位時間当りに入れられる個数に
差が生じることが分かってくるわけです。

これは何を意味しているかというと、
単純に個数で判断をすることには
意味がないということです。

比較ができない

例えばですが、
百メートルのタイムを測るとします。

これは少なくとも
同じグラウンドで、同じコースで、
ほぼ同じ風の状態で

八人が一度にスタートを切り、
百メートルを何秒で走るのか?
ということで測るので、
ある程度の比較ができるわけです。

この場合でも、
走る時間が変わることにより
風の状況が変わるので、
タイムに差が出ることはあり得ます。

さらに言うと、
これがコースが変わる、
例えば、ある時は国立競技場であり、
ある時は別のグラウンドでおこなったとすれば、

一応、比較の参考にはなりますが、
純粋に比較をすることができるのかというと、
それは難しい、ということになります。

さらにもっと言うと、
同じ百メートルのタイムを測るといっても、

百メートル走をしている人の
百メートルのタイムを測る場合と、

五千メートル走、
あるいはマラソンをしている人の
例えばあるタイミングの
百メートルの速度、時間を測る。

そしてそれを比較することに
意味があるのかとなると、
あなたはどう考えられるでしょうか?

そこはほとんど意味がありません。

そのことはお分かりいただけると思います。

数字として出てきた。
それを単純に比較することには
意味がないということです。

同じ条件で同じようにやった作業だから
ある程度、比較ができるということです。

単純に言うと、
全く同じ条件でやらなければ
純粋には比較はできないということです。

数字が意味するところ

このことは丸ごと
先程お話しした商品の棚入れに
当てはめることができます。

結果として、Aさんは
一時間あたり例えば
150個、棚入れができました。

Bさんは120個でした。

Cさんは160個でした。

だからCさんは、
棚入れ作業の生産性が高い優れた人で、

Bさんは棚入れに対して生産性が低い人だ
という判断ができるのか?と言うと、

先程の100メートルを走る
時間の比較の中でもお話ししたように、
全く条件が違うので比較にはならないということです。

数字があるから事実を表していて、
そこに真実が隠れているという判断は、
根本的に間違う可能性が高いです。

常に同じ状態で
同じ作業をした結果の数字なのか
を見なければいけないということです。

ですから、先程お話ししたように
単位時間当りに棚入れをする
商品数が低いから、
この人は再トレーニングの対象だというのは、

正しい判断、解決方法の
見つけ方ではないということです。

では数字は
何を意味しているかというと、
あくまで傾向としてその状態を表している
というだけです。

先程の例、
棚入れの個数でいえば、
この人は1時間当たり150個入れれます。

この人は120個でした。

この人は160個でしたというだけで、

どうも三番目の人は棚入れが早いみたいだ。

二番目の人はちょっと遅いかもなと。

そして最初の人は大体平均ぐらいかも
というようなことが
例えば分かる、というだけです。

細かくは実際に
三番目の人、Cさんとしましょう、
Cさんが何を棚入れした結果

1時間当たり160個になったのかというのは、
詳細にその中身を見なければいけないです。

さらに言うと、
どの様に作業をしているのか
までを確認しなければ、
判断はできないということです。

もしかしたらCさん、
3番目の1時間当たり160個入れてる人は、

こまごまとした扱いやすい商品ばかりを
いつも棚入れをしていて、

しかも例えば、
五個まとめて入れることを
繰り返しているかもしれません。

そして二番目、
例えばBさんとしましょう、

1時間あたり140個と少なかったわけですが、
なぜかというと、比較的大きなもの、
あるいは、複雑なもの、入れるのが難しいものを
一所懸命に入れている
ということかもしれません。

そしてしかも、一個一個、
作業で定められたように入れることを
していたかもしれません。

ですから、数字というのは、
事実を表しているように見えて、
実は目安にしかならないということです。

数字を使うならば

もし数字で比較をするなら、
先程の例えば100メートルを
走ったタイムを測るときのように、

全く同じ条件でやっているという
前提の上での比較でなければいけない訳です。

そして一般的に、
例えば商品を棚入れするとか、
逆に注文に応じて商品を取ってくる作業は、
同じ条件で行われているか?というと
そんなことは絶対にありません。

ですから、
あくまで数字は目安であり、
その人がどういう作業をしているから
この数字なのかというのは、
データを集めた状況を細かく分析をして、
比較をしなければいけないです。

さらに言えば、先ほど言ったように
本来は一個ずつ
入れなければいけないところを
五個まとめて
入れてるかもしれないので、

実際の作業内容を
見ることをしなければ、
最終的な判断はできないということです。

だからそこまでをやった上で
例えば、ここの人たちは
もっと生産性を高める、

要は作業効率を
高めるチャンスがあるから
「再教育をしよう」とかの判断を
しなければいけない訳です。

忘れてはならない観点

ところが多くの場合、
数字が集まっていると
その数字を見て
全部が判断できるという風に
間違った解釈をしてしまうケースがが少なくありません。

その結果、解決策を講じても
思ったほど効果、
成果につながらない
という状況になってしまう訳です。

それは数字を見て
「正しい」と思っているところに
そもそも間違いがあり、

数字はある程度、傾向を示しますが、
事実を表しているとは限らないという観点で
数字を見なければいけない
ということが分かっていない。

その上で解決策を考えることを
やらなければいけないのに、

この数字が全てを
表している真実だと思い、
解決策を考え出すからいけない訳です。

結局、数字というものに頼り過ぎていて、
実際の現場を見ていない
ということにもつながります。

実際の現場を見れば
「あれ、おかしいな?
 何でこんなにこの人は作業が速いの?」とか、

あるいは、
「何でこの人はこういう作業を
 やっているのに遅いのだろう?」とか、

ということが
見えてくることがあるので、
”数字は傾向を示しているだけだ”と。

同じ環境でやったデータ、
数字、結果でなければ
比較はできないと考えて

物事を見なければいけないということを
私たちは常に忘れてはいけないと思います。

まとめ

今まで成果につながる解決策を
どうやって見出すのかという点について
ポイントをあなたと何回にも渡り、
共有してきました。

今回の内容で一応このシリーズは
一旦終了と考えていますので、

今までどういう点がポイントになったのか。
それを最後にあなたと共有したいと思います。

まず成果につながる
解決策を考えるためには

基本的に問題、課題が発生すると
場当たり的に解決策を講じるわけです。

しかしそれでは十分ではないかもしれない。

「根本的、基本的に
 解決すべき問題、課題が
 今発生しているんだ。

 それをとりあえず当座しのぐために
 今解決策を講じている」
と認識することが重要だ
という点が一番目でした。

そして二番目は、
例え現場の内容、状況を
よく知ってると思ったとしても

実際現場に行って
その状況を見ない限りは
何が本当に問題、課題なのか
見いだせないことが多い
ということをお伝えをしました。

そして三番目は、
問題、課題の状況をただ見て
それでお終いではなく、
観察をしてくださいということでした。

そして観察をするということは、

長い時間よく観察をすることと
長い期間観察をするという
この二つのポイントがありました。

そしてできれば、
できるだけその業務を実際にやってみる。

現場の人たち伴に
一緒にやってみることが重要でした。

これも長時間やることと
長い期間やるということでした。

やってみると、
見るだけでは感じられないこと、
分かってくることがあるので、

それが解決策に非常に重要な観点を
与える可能性が高いというお話でした。

そして五番目は
その問題、課題が発生している業務を
実際やっている社員の話をよく聴くことです。

あなたが実際、見て、観察をして、やってみて
気が付いたこと以上に、
実際にその業務をやっている社員、
あるいは従業員、
パート、アルバイトの方達は

問題、課題を認識している可能性、
あるいは、原因を
分かっている可能性が高いです。

ですから、彼らの話を聴くことです。

聴く時のポイントは2つあり、
一つは、問題、課題、原因が何か?
ということを聴くこと。

そしてあなたが
もし解決策を考えたならば、

その解決策が適切なのだろうか?

この解決策に改良点はないのか?

という観点を聴くことでした。

そして六番目は、
問題、課題の解決策を
実際に導入した時に、
あなたも実際にやってみることです。

しかもそれは、
長時間やることであり、
長い期間やってみる
ということです。

実際にやってみると
考えていた以上のことが
また分かるので、
そこで改良する必要性が分かってくる
という点がある訳です。

そして七番目、これは、
その問題、課題が発生している業務や
その業務が行われている場所、
業務で使っている道具や器具
といったものの中だけで
問題、課題を解決するという
部分最適の観点も重要ですが、

その解決策を講じることによって
その業務の前後にある全体の流れ、
そこにどういう影響があるのか。

そこで問題、課題が生じないのか、という観点も
十分に考える必要性があります。

部分最適だけではなく、
業務全体の最適化を図る
という観点が重要だという点でした。

そして最後、八番目は、
今回取り上げた
数字は必ずしも事実を示していない
ということです。

傾向は分かりますので、
その傾向を分かった上で
それが実際、細かく
どのような状態で
行われた内容の結果なのか
という点を持って、
初めて数字の評価ができます。

その観点を忘れずに
解決策を考える必要性が
あるということです。

今までこの八つの観点を示したわけですが、
少し時間がかかるとか
面倒くさいといったことも
ないわけではないです。

しかし、この様な観点で
問題、課題を見て、
解決策を考える様になれば、

成果につながる、
結果につながる、
本当に問題、課題を解決し、

全体の業務、
あるいは事業の中で
成果を生み出す解決策を
考え出すことができるようになります。

是非この様な観点で
解決策を考えることを
忘れずに取り組んでいただきたいと思います。

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