「計画」作りはミスばかり。当然、成果につながらない:社長の経営講座

こんにちは。

売上と社員のやる気を一度に伸ばす事を支援する
ウィズスマイル降旗(ふるはた)です。

経営計画や事業計画を作る時に
どの様な内容の計画を作ると
成果、結果につながるのか。

今回はその点をあなたと共有します。

成果、結果に結びつかない

新しい年度が近づき、
経営計画や事業計画を新たに作ろう、

あるいは、
もう作り始めている社長、
経営者の方、事業責任者の方は
少なくないと思います。

その様な中、経営計画や事業計画を作っても
なかなか成果、結果に結び付かないと
悩んでいる方も少なくないと思います。

そこで前々回から
経営計画や事業計画を成果、結果に結びつけるために

計画の中身、要素として
どの様なことを
どの様に考えるのか
という点を扱っています。

前々回は、「目的」とは
どの様な内容が必要なのか。

そして前回は、
「目標」はどの様な内容が必要なのか。

これらの点をあなたと共有しました。

今回は「目的」、「目標」をもとに
「計画」をどの様な内容にするのか
という点を深めます。

計画とは?

まず「計画」とは何かです。

辞書を引いていただくと
分かるように、

”物事を行うために
 その方法、手順などを
 筋道を立てて企てること。
 その企ての内容そのもの。”

これが「計画」の定義です。

経営、事業にこの内容を当てはめると、

 「目的」を実現するために、
  その段階的状態を示す
 「目標」を設定します。

 この「目標」を達成するために
 ・どのようなことを
 ・どのような手順、方法で
 ・どのようなスケジュールで、
 ・誰が、どの部門が実施するか
 を明らかにして、

 社内で合意をするための基礎となる資料。

これが経営計画であり事業計画です。

そして実際には、
この合意された計画内容に沿って
実施すると定義された部門が、

そのスケジュールに沿って
詳細な「施策」の実施計画を策定し、
実施するときの根本となる中身が
経営計画、事業計画の様な「計画」、「計画書」です。

よくある計画の作り方

では、実際に
よくある経営計画や事業計画は、
どのような内容、作り方をされているでしょうか。

多くの場合、最初に「理念」を掲げます。

そして次に、昨年度の実績を元にして
目標数字を掲げます。

計画書には「昨年度の実績を基に」とは書きませんが、
前回お話ししたように
数字目標の作り方としてよく行われるのは、
以前の数字を基にすることです。

今年あるいは前年度が
この数値だったから、
「その10%増しにしよう」
「15%増しなら達成できるのではないか」
の様に目標数字を作る方法が多く行われます。

そして、まずその目標数字、
例えば売上目標や利益目標の数字を掲げます。

そして多くの場合、
次に”取組む項目”を並べるます。

その際によく出てくる内容は、
例えば、
「営業力を強化する」とか、

「マーケティングの強化をはかる」とか、

「経営感覚を持つ社員を育成したい」とか、

「人材教育に力を入れる」
というような内容であることが少なくありません。

そしてその次に出てくる内容は、
数字目標として掲げた売上や利益経費を
予算として設定します。

そして項目別に予算の中身を分割する。

変動費、固定費に分ける。

部門ごとに分割する。

月別に分けて整理する。

四半期、半期ごとに中計を設ける。

この様なことをして
詳細な予算計画をエクセル表で作ります。

そしてその後に
新しい年度の組織図や体制図を
組み込むケースが多いです。

新しい組織の名称にするとか、
誰が組織に配属されるか
組織要員の名前を公表する。

あるいは
二つの部門を一つにするとか、
一つの部門を二つに分ける
という様な事を明示します。

場合によって
新たにプロジェクトチームを設立するから

そのメンバーはこういう人達で
こんな役割をする、というようなことを示します。

この様な内容を、
ほとんどの場合、計画書として扱います。

対象が経営ならば経営計画書です。
ある事業が対象ならば事業計画書です。

そしてさらに
これらの計画の中身が分割されて
部門毎の内容になれば、

部門の計画書として
先ほどと同じような内容が
扱われるケースが多いです。

このような形で「計画」を作っています。

計画の一番目のミス

この計画の作り方には
大きく五つのミスを犯している点があります。

まず一番目は、「目的」が掲げられていません。

多くの場合、
理念という”方向性”を掲げて終わり
というケースが多いです。

「目的」という目指しているゴールが
不明瞭なままに計画を作っているので、
計画内容がどうしてもよく分かりません。

なぜこの様なことをやらなければならないのか
分からない状態になっています。

前々回でもお伝えをしたように、
「目的」は目指している状態、
手に入れようとしている状況、状態のことです。

獲得しようとしている対象そのものを指していますから、
明確に”こういうものを作る”、
”この様な状態にする”
ということを掲げます。

ですからこそ、そこに向かい、
”この様なことをやっていくんだ”
という計画を作ることができるという構造になります。

どうしても明確な「目的」を
計画の最初に掲げることが必須です。

これができていないことが一番目のミスの点です。

計画の二番目のミス

二番目のミス。

これは目標になっていない「目標」を
掲げているケースが多いことです。

これは前回もお伝えしたように、
昨年度とか今年の見込みを
ベースにして、
来年の目標数字を算出しています。

この様な作り方が多いです。

本来「目標」は、
「目的」を実現するために
現状から目的のゴールに向かい、
どの様な状態、状況を経ていくのか
という部分が目標です。

ですから、

前年の数値結果がこうだったから、
それに10%上乗せした売上げ数字を作ろう
というようなものではありません。

「目標」の作り方が逆になってしまっているのが
多くの場合の今現在の作り方です。

それを計画に掲げることは
ズレていることになります。

更に数値目標ばかり
ということが充分ではない点です。

これも前回お伝えをしましたので、
数値目標が不具合を生じている点は、
前回の動画をご覧ください。

成果につながらない重大な理由は「目標」のミス:社長の経営講座
この内容の動画(19分31秒)

目標を掲げる時に、
前年あるいは今年の実績に対して
どこまでの目標が達成できているのか
という結果の評価がありません。

前年、あるいは今年掲げた目標に対して
どこまで到達しているのか。

あるいはどの部分ができていないのか。

そして到達できた理由は何なのか。

できていない原因は何なのか。

あるいは、
目標を超えた部分があれば、
なぜ目標を超えるまでできるようになったのか。

この様なことを明らかにして、
評価をする必要があります。

それを元にして
次の期の目標をどうするのか
ということになります。

「目標」が明確になっていないので、
結果として「目的」となるゴールに
どれだけ近づいているのか
ということもよく分かりません。

したがって「目標」を
例えば修正することになっても
何をどの様に修正して良いのか
ということもよく分からない中、

多くの場合「目標」を設定して
「計画」を作っている状況です。

計画の三番目のミス

ミスをしている三番目の点は、
実施内容や取り組み内容が抽象的内容ばかりだ
という点です。

抽象的な中身になるということは、
”方向性しか示していない”
ということです。

例えば、
”営業力を強化する”は、
”営業力をもっと高めないといけないよね”という
方向性は示していますが、

そのために何をするかは
ほとんど分かりません。

強い営業力を持った会社、
あるいは、組織は、
どの様なことができるようになっていることなのか
ということがハッキリしていません。

それなので、何をやったら良いのか
よく分からない状況になっています。

同じように
”マーケティングを実施する”の場合、
マーケティングとして
実施する中身は何なのかです。

あるいは、
人材育成を実現するという時に、
何をどうすることが
人材育成の実現につながるのか
ということがよく分からないのです。

中身が分からない状況で
言葉が並べられた施策になっています。

実際に計画が作られたとしても、
実施部門として
何をどうやるのかよく分からない
ということになります。

したがって、
今までの延長線上なので、
やっていることは今まで
とあまり変わらないということに
なってしまう訳です。

計画の四番目のミス

そしてミスの四番目。

実施内容を実施する実施者、
あるいは、その役割が
明らかになっていない点です。

例えば、
”一つの部門にこれをやってね”
でしたらまだ良いのですが、

いくつかの部門が協力してやるとなった時には、
「協力してやってね」ということでは
うまく進みません。

この部門とこの部門が
協力して施策をおこなうならば、

どちらがどの様な責任を持つのか。
どちらがどの様な役割分担をするのか。

という点を
定義をしておく必要があります。

それを前提に二つの組織が
ある施策に取り組む中で
修正を加えれば良いことです。

しかし多くの場合、
二つの組織で実施することになっているので、

実際始まると
どちらが責任を持ち、
主になってやるのかから始まり、

”そこはうち(の部門)がやるの?”
”いや、そっちの部門でやるんでしょう”の様な形で、
うやむやのままになります。

そして物事が進まずに、
時間ばかり経つことになってしまう訳です。

計画の五番目のミス

そしてミスの五番目。

これは計画実施のチェック機能が
不明確な点です。

計画を作り、実施すると承認をされます。

この計画の中身が実施されているのか。

どの様に進捗しているのか。

そこで問題、課題が生じていないのか。

結果として、どこまで達成できているのか。

このような内容をチェックする機能が
明らかになっていません。

計画書の中では定義されていません。

したがって、
その部門で実施しなさい、
あるいは、二つの部門で協力して実施しなさい
と投げらます。

それがいつ、どこまで、
どのように進んでいるのか。

進める中で不具合がないのか。

うまく進んでいるのか。
うまくいっていないのか。

この様なことが
ほぼ分からないまま、
時間だけが過ぎる状況になります。

そしてある時、
「どうなっているのか」
ということが
何かの会議で話題になった時に、

”進んでいません”とか、
”こういう部分がうまくいっていないです”
のような形になります。

そこで慌てて
”それは何とかしなければいけない”と
修正を加えてみても、
結局うまくいかない形に
なってしまっています。

計画で最初に示すこと

これら五つのミスをしている点。

これらを解消し、
そして本来「計画」が持っていなければいけない内容を
作っていくことが、
本来の計画設定のやり方です。

では、本来の計画の中身は
どの様な内容なのでしょうか?

まず本来の計画では、
「理念」を掲げるのは良いとしても、
その次には「目的」を
明示する必要があります。

これは「理念」や「方針」や
「方向性」ではありません。

抽象的な内容ではないということです。

具体的な状況、状態として
この様な経営、あるいは
この様な事業の形を実現するという内容を
「目的」として明示をする必要があります。

次に重要な計画の中身

次に「目標」を明示をします。

「目的」から逆算した「目標」を設定します。

これについては
前回の「目標」のところで
次の図を使って説明をしていますので、
詳しくはそちらをご覧になってください。

次の期の「目標」を設定する時には、
前年、あるいは今年の結果を
まず明らかにします。

数字目標だけではありません。

実現した状況や状態。
ルールや改善点。

この様な部分も含め、
昨年あるいは今年、
どこまで実現できたのかを
明らかにする必要があります。

そして、結果の数字や状態、状況の理由、原因を
解明しておく必要があります。

なぜこの数字が達成できなかったのか。

なぜこの状態を目標に掲げていたのに
実現できなかったのか。

あるいは、
この状況を目標に掲げていたら
さらにその先まで
実現できたのはどうしてなのか。

この様な部分を明らかにしておきます。

変えるのか、変えないのか

そして次には、
本来設定していた目標の状態、
数値がある訳ですが、
次の期も、そのままの目標を掲げるのか。

あるいは、
この目標を変更するのか。
修正するのか。

この点を判断します。

今までの結果をもとに
本来はここまで到達するはず
だったのにできていない。

この様な時に、それでも当初、
設定した目標を掲げるのか。

この目標を修正して、
もう少し実現できる部分を減らすとか、

あるいは
逆に増やすとかの判断をするのかどうか、
ということです。

修正をするならば、
なぜ目標を修正するのか
という原因と理由を
明らかにしておく必要があります。

目標を当初のものから
変更した場合には、

元の目標を示し、
新たに設定する目標を示して
どこをどのように
修正しているのかを
明らかにする必要があります。

そして修正した原因と理由も
明らかにしておく必要があります。

目標に必要な事柄

「目標」を設定することは、
実現する状態、状況を示すわけですから、

そこには仕組みやルールや機能、
状態、状況ということも
目標として設定するべきものです。

数値目標も当然掲げます。

そして数値目標には、
月毎の予算表として、
部門や組織毎、四半期、半期毎の中計、
固定費と変動費の区分、
直接部門と間接部門に分ける
とかいうことをやって良いでしょう。

数値目標を作るということは、
この目標を実現するために

今までと違ってどのようなことに
取り組むということが
一緒に記載されている必要が
あるということです。

この内容は
数値目標以外の目標部分にも
当然書かれていることです。

目標の次に

そして目標が明示された後には、
今度は目標実現に必要な内容が
そこに記載をされます。

これには
新たに取り組む内容とか
新たなルールとか新たな機能とか、

この様な状態にするために
こういうことを実現する
ということが具体的に書かれるものです。

そしてもし、
具体的な部分まで書けないとしたら、
”具体的な中身を検討する”
という文言にしたとしても、

誰が検討チームを構成し、
いつまでに結果を作り、
いつまでにそれを経営あるいは
事業責任者に報告をし、
社内的に合意を取るのか、

という点が記載される必要があります。

このような形で
取り組む内容、中身を
具体的に明らかにします。

ですから、先ほどの例で
よくある内容として
「営業力の強化」を掲げるだけでは
足りないことをお話ししました。

「営業力が強化された」とは
どういう状態、どういう内容で、
それを実現するためには

 こういうことを組み込む
 こういう機能を持たせる
 こういうルールを作る
 こういうことを
  やらないとできない

この様な事を明確に示します。

それに取り組むことを
明示する必要があります。

具体的内容の次に

そして次に、
この機能を実施する
その実施時期がいつなのかということを
スケジュールとして掲げる必要があります。

いつまでにこのルールを作るとか、
いつまでにこの機能を実現する。

この様なことになります。

そしてその次に、
それを実施する人たちは
どういう人たちなのか。

その役割は何なのかを明示します。

これは組織であったり、
プロジェクトチームであったりします。

責任者が誰だとか
構成要員はどういう形で組成する
というような内容です。

そしてその延長線上として、
例えば、

 組織はこういう構造になる
 新たな部門をこういう風に作る
 こういう形で組織を再編する

この様な組織の内容を示します。

忘れてはまずい事柄

そしてその後に
この計画の実施状況を
どの様にしてチェックするのか
というチェック機能の部分が
記載されなければいけません。

実施状況をどの様にして把握するのか。

実施状況をどの様に報告するのか。

実施内容をどの様にして改善し、
より良く実施できるようにするのか。

あるいは、新たな事象や事情が発生した時に、
それをどの様にして経営や事業責任者に
提案をして承認をしてもらうのか。

あるいは、
変更が生じた時にはどの様に対応するのか。

この様な事を定めておきます。

これで計画書としての全体像ができあがります。

ここまで(「計画」として)作っているので、
これが社内で承認をされ、
各部門に割り振られ、
施策に展開して実施されます。

その過程で問題、
課題が発生したり、
スケジュールの遅れが出たり、

あるいは、実施したけれど
成果、結果にうまく結びつかなかった時に、
改善をすることができます。

ですから、「目標」あるいは「目的」に
近づくことができる構造になります。


今回は会社や
事業として構築し、検討し、
承認される「計画」の内容を扱いました。

この計画が、
部門、実施者に落ちた時に
具体的な「施策」になります。

この「施策」の中身が
どの様になっているのかについて、
次回あなたと共有します。

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