数字で分析しても改善できません!:社長の経営講座

こんにちは。

売上と社員のやる気を一度に伸ばす事を支援する
ウィズスマイル降旗(ふるはた)です。

作業に関して計測をおこない
数字に表すことで、

悪い部分の質を高める、
効率の悪い部分を改善する、
ということを行います。

しかし。

実際のところ、
悪い部分の質や効率は、
思ったほど良くなりません。

数字を基にしたことで、
逆に質を低下することも
少なくありません。

今回は、数字を信じることは
とても危険だという点をあなたと共有します。

【今回の内容の動画】(動画再生時間:16分18秒)

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改善につながるのか?

前回、ある倉庫で、
保管棚から注文の商品を取り出す
ピック作業について、
作業効率が上位の人を
掲示した話をしました。

掲示の良否、
伝えることの可否については、
前回の内容
伝わらないのはズレているから:社長の経営講座
を参照していください。

今回は、
「計測、集計した数字を
 どのようにとらえ扱うのか」
という点です。

集計結果を一覧にすると、
作業効率の数値の上位から、
作業効率の数値が低い人まで、
対象者の順位がわかります。

作業効率がかなり悪い人の順位が
明らかになります。

ここであなたに質問です。

この作業効率の順位づけに、
どの様な意味合いがあるでしょうか?

順位づけすることで、
何が明らかになり、どの様な改善につながるでしょうか?

変化は訪れない

作業効率として示された数値は、

作業者ごとに1時間当たりに
保管棚から取り出した商品数
のその人の平均値

です。

少し考えてほしいのですが。

作業効率が悪いということは、
1時間あたりに取り出した
商品数が少ない、
ということです。

このことがわかるので、
作業効率が悪い人に対して、

作業に関する指導をして
作業効率の改善を
図ることができると考えます。

そこで。

作業効率の数値が悪い人を
選び出します。

その人に声をかけ、
作業効率が悪いこと、
全体の平均値に対して著しく悪い、
ということを伝えました。

次に、
「作業の無駄を省いて、
 作業を手早く進めるように、
 注意しましょうね」
と諭し、改善を促しました。

対象の作業者から、
クレームがあれば、

例えば、
「準備ができていても、
 ピック作業用のカートが
 なかったからだ」
などのクレームがあれば別ですが、

通常はそんなこともなく、
対象の作業者は
指導と改善の要望を聞きます。

その後、対象となった作業者は、
ピック作業の効率を
高める意識を持って
作業に取り組むでしょうか?

いかがですか?

実際のところは、
指導された当初は
少しは気にするでしょうが、

やがて元の状況に
戻ってしまうものです。

その結果、
指導、改善を諭された作業者の
作業効率は良くなったのかというと、

実際のところは、
それほど変わるものでは
ありません。

実測した数値をもとに
作業効率のランキングを行い、

効率の悪い人に対して、
ピンポイントで指導、
改善の要望を伝えたのに、

実際にはそれほど
意識されることもなく、
当然、改善されることもないのは
何故なのでしょうか?

環境が異なる

このピック作業を行なっている時間は、
作業者によって異なります。

ピック作業者が少ない時間帯に
Aさんはピック作業をすることが
多かったかもしれません。

作業者が少ないということは、
作業者が詰まり
作業が止まることが
少ないことを意味します。

作業が遅い人が前にいて、
待たなければならない
作業を止めること
が少ないです。

Bさんは逆に、
作業者が多い時間帯に
ピック作業を多くしている
かもしれません。

ピック作業そのものの
作業をしている時間は
Aさん、Bさん
どちらも同じだとしても、

作業者が多いと、
作業が遅い人も少なくないので、
待つ時間が多くなり、
単位時間あたりのピック数は
少なくなります。

作業を実施している状況が異なるので、
単純に計測値を比較はできません。

この観点から、
どの様な時間帯に、
どの位の作業者がいる中での
ピック作業かを考慮し、

計測数値に係数を乗じて
処理をすることを行い、
その上でランキングをしています。

単純な計測値比較ではなく、
作業状況を考慮している
というのです。

これで実態がわかるのか、
というとどうでしょうか?

タイムに意味がない

次の様な比喩で考えていただくと、
わかりやすいでしょう。

AさんもBさんも、
陸上トラックのトップアスリートで、
例えば400mのタイムを競ったとします。

Aさんは、
誰もいないトラックを走り、
タイムを計測しました。

一方Bさんは、
中学生や高校生や素人の大人など、
十数人が走る最後尾からスタートし
計測をしました。

しかも、Bさんは、
前を走る人を
抜いてはいけない条件です。

AさんとBさんのタイムを比べ、
順位づけをする人は、

AさんとBさんの計測の状況が異なる、
ということはわかっています。

この差を是正するために、
Bさんのタイムに係数を乗じて、
比較をしました。

トラックの走るレーンに
同時に走っている人数を元に
係数を作成し、その値を乗じます。

Aさんが上位になるのか、
Bさんが上位になるのか、
それは定かではありません。

タイムを計測した状況が
異なるケースばかりなので、

Bさんの値に係数を乗じても、
その結果の値が何を意味しているのか
よくわからないからです。

Aさんのタイムと
係数を乗じたBさんのタイムを
比較することで

「どの様なことが
 わかるでしょうか?」ということです。

係数を乗じても

では、同じように
その人が走る前に、
同じ人数の人が走っていて、
それを追い抜いてはいけない条件で、

BさんとCさんが
タイムを計測しました。

Bさんの場合は、
足の遅い人ばかりが
Bさんの前を走っていました。

Cさんの計測の場合は、
それぞれの年代の
トップに近いアスリートが
Cさんの前を走っていました。

しかし走っている人数は同じなので、
乗じる係数は人数に基づくので
同じ数値です。

これでBさんとCさんの
計測したタイムそれぞれに、

前を走る人数から設定した
係数を乗じました。

それぞれの値を比較したとして、
「BさんとCさんの
 どちらの作業効率が良いのか
 わかるのでしょうか?」
ということです。

AさんとBさんの比較。
BさんとCさんの比較。

これらの比較からは、
たとえ係数を乗じたとしても、

それぞれのタイムを比較して
比較すること自体に、
意味があるわけではない
とわかるでしょう。

当然、ランキングや順位付けにも
意味がありません。

測定時間の違い

同じ条件で測定したタイム
という数値を比較しなければ、
比較にならないことは
説明はいらないでしょう。

同じ条件で測定された数字にしか、
比較の意味合いはありません。

順位づけの意味合いがありません。

順位が低いからといって、
何がわかるのでしょうか?

測定した時の条件が異なる限り、
測定値を比較をし、
順位をつけたとしても、
大した情報は得られません。

さらに。

この倉庫でのピック作業の計測の場合、
作業環境の違いだけでなく、
その作業の実施時間として、
どのように計測しているか、
という点も異なります。

ある人の場合は、
作業指示を受けてすぐに
ピック作業の計測が
スタートする状況でした。

計測がスタートした後、
ピック作業を行う準備をしたのち、
実際のピック作業に入りました。

別の人の場合は、
ピック作業の準備をした後で、
ピック作業の計測が始まりました。

この様に、ピック作業として
認識された時間も
作業者により異なります。

この様な状況がありながら、
処理をした数値を基に、
作業者をランキングしています。

このランキングによって、
何が起こるでしょうか?

重要点をおびやかす

ちなみに、この倉庫では、
第一に「安全」
第二に「品質」
の重視を掲げています。

「効率」は第三番目。

「安全」、「品質」あっての「効率」
という位置付けです。

ランキングが掲示され、
管理者に問い合わせることで、
自分の順位や
平均値との差を教えてもらえます。

受け取る作業者の考えにより
対応は異なりますが、
何が起こるのか、ということです。

ある作業者は、
なにしろピック作業を
早くやらなければならない、
ととらえました。

その結果。

庫内を小走りで移動する、
他の作業者の横を
声もかけずにすりぬける、

というような
「安全」を脅かす行動を
しています。

別の作業者は
ピック作業を早くするために、
標準と定められた作業を
一部すっ飛ばして
無視しています。

人の指示やアドバイスは上の空で、
作業を早くやることばかりに
意識が向いてしまっています。

そのために、
次の作業者に迷惑があっても、
そんなことは気にもしません。

これらのような
「品質」を脅かす行動を
行っています。

数値による作業効率で
作業者を評価することで、
単に時間内の作業量を増やす、
という行為に走っています。

「効率」は高くなっても、
「安全」、「品質」での問題を
引き起こしています。

先ほど説明した様に、
どの様な状況で、
どの様な時間範囲で
計測をしているか、
という点が作業者により異なるので、

時間内の作業量を
増やしたからと言って、
作業効率の数字が
どれほど良くなるのかは疑問です。

本当のことはわからない

計測した数値を用い、
数値を重視したとしても、
状況が良くなるものではありません。

そもそもですが、
状況が異なる中で
計測された数値結果は、

例え係数を乗じたとしても、
実態を正確には反映してはいない、
ということです。

同条件で計測した数値でなければ、
比較や傾向を見ることさえ
現実にはあまり役に立たない、
ということです。

計測した数値結果をもとに
順位づけをすれば、
作業効率が良い人がわかります。

平均的な作業効率の
作業者の一群がわかります。

計測数値が芳しくない、
作業効率がよろしくないと見える
作業者の一群がわかります。

計測数値をもとに、
作業効率の数値が芳しくない作業者に、
この倉庫では個別に指導をしています。

計測した数字と順位を示して、
作業効率を良くする様に
伝えています。

数値からは、
ピック作業の効率がが良くない理由も
実際にはわかりません。

一般的に思いつくことを指摘し、
ありがちな改善策を示し、
「やってみてくださいね」
と指導をしています。

その結果、
ピック作業の効率が
以前より良くなることはほぼなく、

逆に、安全や品質面で、
危惧する状況が生まれています。
以前よりも増えています。

測定環境が異なる
作業効率の数値をもとに、
改善しようとしているからです。

ほとんど意味がない数字を信じ、
その値から改善を試みているからです。

だから結果がでません。


この様な測定環境が異なる数値は、
使い方があります。

その使い方の上で、
改善のために違った視点、
観点で取り組む必要があります。

その点は、次回、詳しくお話ししますね。

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