戦略に理念、ビジョンが使えない理由

公開日:2019/09/26

更新日:2019/12/14


こんにちは。

売上と社員のやる気を一度に伸ばす事を支援する
ウィズスマイル降旗(ふるはた)です。

戦略はどの様なことなのか、
どの様な考え方なのか

という一番基本の部分を
前回、図を用いて説明をしました。

参考:「戦略」に重要な差・ギャップ
参考動画(あるいは下の画像をクリック)

 

今回は、戦略とは何かを復習しつつ、
戦略を導き出す時の重要な要素の一つ
目的、将来の姿について、さらに明らかにします。

(動画再生時間:15分39秒)

(BGMには、音楽素材MusMusの楽曲を使用しています)

戦略とは何か?(復習)

戦略を下の図1で説明しました。

  図1

「戦略」とは何かというと、
横軸に時間をおいた時に、

今現状の経営・事業の状態から
経営・事業の目的、
あるいは経営・事業が
実現しようとしている将来の姿、

これにたどり着くためには
どの様な手順、どの様な道のり、
どの様な経路をたどっていくのか、
と定義をしました。

この点がわかってくると、
重要なポイントは何か
という事がわかる様になります。

今、現在の経営・事業の状況・状態は、
今の状態を調べればわかるので、
この点の把握は簡単にできます。

手間がかかるかもしれませんが、
今の状況・状態をつかむことは、
やろうと思えば容易にできます。

辿り着くゴール、経営・事業の目的、
あるいは経営・事業の将来の姿、
これはどうなのかという点を
今回あなたと共有したいと思います。

 

経営理念、経営ビジョンを使う?

経営・事業の目的。
経営・事業の将来の姿。

これに当たるものは何か、です。

この話をするとよく出てくるものとして、
「経営理念」、「経営ビジョン」があります。

経営理念、経営ビジョンが
経営・事業の目的、
経営・事業の将来の姿に
置き換えることができる、

あるいは、理念とかビジョンの中から
関連する部分を抽出することで、

それらと今現在を比較することによって
戦略が導きだせると考えることがあります。

これはこれで悪くはないでが、
今までのいろいろな経験、
理念、ビジョンを扱ってきた経験から
お話しすると、

今多くの会社が持つ経営・理念とか、
経営ビジョンは、

正直申し上げて
戦略を語るときの経営・事業の目的、
経営・事業の将来の姿には物足りない、
不足しています。

経営理念、あるいは経営ビジョンから導き、
引き出した内容の一部を使って、

これを経営・事業の目的、
経営・事業の将来の姿に当てはめ、
戦略を作ることは、
正直に申し上げて好ましいことではありません。

 

戦略の実現度がわからない

前回の説明でお伝えしたように、
今の状態から経営・事業の目的、
経営・事業の将来の姿を
実現しようとした時に、

どの様な道のりを辿るのか、
というものが戦略です。

この戦略を元にして、
日々の業務の活動、
あるいはいろいろな施策を行います。

したがって、
行ってきた日々の業務、

この部分をこの様に変えようとか、
こういうことを新たにしよう、
という形で行った結果が、

経営・事業の目的、
経営・事業の将来の姿の実現に
近づいていることが求められます。

では、日々、
あなたの会社で行われている業務、
あるいは今期の年度計画の中で
行うと設定されている施策を行い、

その結果を評価し、
目的、将来像に対して

ここまで出来たという事が、
明らかになっているでしょうか。

新たに積み上げた事、
行った事で達成した経営・事業の姿が、

本来の経営・事業の目的、
経営・事業の将来像に対して、

どの部分をどれだけ実現したのか、
という事がわかるのかという事です。

実際のところは、
ほとんど分からないと思います。

 

戦略の実現がわかる

今の質問を簡単に図解します。

経営・事業の目的、
経営・事業の将来の姿として、
これだけのものを実現する、

図では、実戦の黒線の
円の中のものを実現するとします。

今、どこまで実現できたのか、
というものが青い線で囲った部分です。

 図2

前回説明した戦略の内容によれば、

今出来ている青線の部分と

経営・事業の目的、
経営・事業の将来の姿である
この黒い丸の残りの部分を
どの様に埋めるのかという事です。

それを図解(図3)すると、

 図3

例えば来年はA部分を埋めよう、
その翌年はB部分を埋める、
そしてその翌年は今度はC部分を行う、

という様に、この順番で実行する
というものが戦略に当たります。

その戦略をベースにして、
年度計画などを作ります。

年度計画を作り、
業務の部分をこの様に変えようとか、
新たにこの施策を行うと決め、
実際に1年間活動した結果、

この部分が
埋まったのかどうか、
分かるだろうか、ということです。

 

理念、ビジョンはハッキリしない

実践した結果、
どこができているのか、
はわかりますが、

経営・事業の目的、
経営・事業の将来像に対して、
どこまで実現できているかはわかりません。

最初に図2を描いた時に、
私は平然と
経営・事業の目的、経営・事業の将来の姿を
黒い実戦で書きました。

実践で描くことが意味することは、
境目、境界が明らかで、
範囲が明確にわかっているという事です。

この部分は目的、将来像の中、
実戦の外側は目的、将来像には
含まれない事がハッキリわかるという事です。

経営理念、経営ビジョンの中身、
そこから経営・事業の目的、
将来の姿として導き出す内容は、

前回にも取り上げた様に、
例えば、高い顧客満足度の実現の様に、
抽象的で詳しい中身が伴っていません。

図解する時には、図4の様に
実戦ではなく破線の状態です。

 図4

ハッキリと領域、境界がわかるのではなく、

なんとなくこの辺りは
目的、将来像に含まれそう、
これは含まれないかも、という状態です。

戦略から導き出した年度計画に沿って、
1年間いろいろ実践をして結果を評価すると、

行なった事で青い線の部分まで
できていることはわかりますが、

経営・事業の目的、
経営・事業の将来像に対して、
どこまで満たしたのかについては、

黒線の境界、範囲がハッキリしないので、
よくわからない、
はっきりしないことが起きています。

一所懸命にやっているけれど、
目的、将来像の実現に
近づいていることは実感できません。

実感がないので、
経営・事業の目的、
経営・事業の将来像を

実現することに意欲が湧きません。
取り組み続ける事ができません。

 

範囲、領域が明確なこと

最初の図1で表したように、
経営・事業の目的、
経営・事業の将来の姿を
実現するための道のりが戦略なので、

前回もお伝えしたように、
戦略において重要なことは、

現在の状況・状態と
目的・将来の姿との間のこの差、ギャップ
を明らかにわかることにあります。

分かるということは、
詳細に比較ができることを意味します。

詳細に比較し検討ができることは、
先ほどの円による図を用いると、

経営・事業の目的、将来の姿の
内容がはっきりしていること、

図で示すならば破線ではなく
実線でこの領域だと明確に示す事ができる状態に
なっている事(図2)です。

 

■ 将来像の実現を実感

その状態で、
現在の経営・事業の状況を配置した時に、
青線の部分までできている、
ということが分かります。

青線の領域と黒線の領域との差の
埋まっていない部分を埋める戦略を立てます。

例えば、来年はA部分をやる、
再来年はB部分をやる、
その次はC部分をやると、
戦略を立てる事ができます。(図3)

立てた戦略を元にして、
戦略に沿った年度計画の中で、
この業務の内容を変えるとか、
新たな業務を行う事で、

埋まっていなかった部分を
埋めていくことができます。

そして1年経ち、
実行した内容を評価した時に、

戦略のこの部分までを実現できた、
という事が明確にわかり、

それをベースに、
戦略に沿うとBの領域に取り組む、
という計画が立てられます。

 

■ 理念、ビジョンでは難しい

経営・事業の目的、
経営・事業の将来像の実現に
近づいている事が実感できます。

経営・事業の目的、
経営・事業の将来像を
実現する意欲が出ます。

実現することを
続けようとします。

この事を考えた時に、
経営・事業の目的、
経営・事業の将来像として、

今ある経営理念、経営ビジョンなどが
活用できるのだろうか、
ということです。

経営理念とか経営ビジョンの
中身を見るとよくわかると思いますが、

かなり抽象度合いの高い、
表現は適切ではありませんが、
非常に耳障りの良い言葉が並んでいます。

例えば、
高い顧客満足度を実現する
の様な言葉が並んでいます。

あなたの会社・事業にとって、
高い顧客満足度が何か、
何は含まれるのか、
どの点は含まれないのか、

それだけの詳しい詳細な内容が
含まれているのかというと、
その様な中身ではありません。

経営理念、経営ビジョンを導き出す過程でも、
詳細な中身を導き出すことは、
ほぼ行われていません。

この状態で、
経営理念、経営ビジョンから
必要な内容を引き出してきて、
それを経営事業の目的、
経営・事業の将来像に据えたとしても、

戦略を導き出す元になる
差、ギャップは明確にはならず、
戦略にたどり着くことはありません。

この点があるので、
最初に申し上げた様に、
経営理念、経営ビジョンを
戦略を考えるときの経営・事業の目的、
将来像に据えることは十分ではないわけです。

今回は経営理念、経緯ビジョンの中身が
詳細になっていない事が、

戦略を導き出す時に使えない、
使うことが難しいことを
あなたと共有しました。

次回は経営理念、経営ビジョンの中身が、
経営・事業の目的、あるいは
経営・事業の将来の姿として用いる事が
難しいもう一つの重要な理由があります。

これも非常に重要なポイントですので、
この内容をあなたと共有したいと思います。

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