成果に直結する戦略の要素:忘れられた観点

公開日:2019/10/02

更新日:2019/12/22


こんにちは。

売上と社員のやる気を一度に伸ばす事を支援する
ウィズスマイル降旗(ふるはた)です。

3回にわたって、
戦略を考えるときの重要なポイント
押さえておかなければいけないポイントを
あなたと共有してきました。

参照:「戦略」に重要な差・ギャップ
参照動画(あるいは下の画像をクリック) 11分16秒

参照:戦略に理念、ビジョンが使えない理由
参照動画(あるいは下の画像をクリック) 15分39秒

参照:目的、将来像に必須の観点
参照動画(あるいは下の画像をクリック)8分23秒

 

戦略とは何かということを
この図で説明をしてきました。

 

経営・事業の目的、将来の姿と
今現在とを比較したときの差、ギャップを明らかにします。

この差・ギャップを
どうやって埋めるのか、
どういう順番で埋めていくのか、
ということが戦略に当たります。

この戦略のギャップを埋める
手順があるわけですが、

もう一つ実は押さえておかなければならない
重要なポイントがあるので
それを今回あなたと共有したいと思います。

(動画再生時間:14分39秒)

(BGMには、音楽素材MusMusの楽曲を使用しています)

 

世の中、戦略ばかり

戦略と対になって出てくる言葉に
戦術があります。

戦略と戦術。

この違いがおわかりになるでしょうか。

色々調べてみると、

戦略は大局的に物事を見てどうだこうだ、
戦術は局所的に物を見た時のことだ、

というような説明が多くなされています。

見る観点が、全体を見ているのか、
局所的に見ているのか
という違いだけでしかない
ということがよく言われています。

その結果何が起きるかというと、
世の中には何々戦略という言葉は
溢れるようにありますが、

何々戦術という言葉は
ほとんどありません。

何々戦術は
お聞きになったことがあるでしょうか?

ほぼないです。
ほとんどの場合、何何戦略だけです。

大局的にものを見るか。
局所的にものを見るか。

この大局と局所という区分自体、
非常に曖昧な世界です。

そこで、何でもかんでも、
耳触りの良い「戦略」という言葉で
置き換えられていることが
事実、現実だと思います。

 

戦略と戦術の大きな違い

しかし、戦略と戦術は、
大局的に見る、局所的に見る
という違いではなく、大きな違いがあります。

その一つが、この戦略の回で
ずっとお見せしているこの図です。

今現在の経営・事業の状況・状態と
経営・事業の目的、
経営・事業の将来の姿との差、
ギャップをどうやって埋めるのか
というものが戦略です。

戦術は、戦略に沿って進めて行きます。

埋めるやり方として、
どういうやり方を選ぶのか、
というものが戦略です。

この戦略の中のこの部分をやる、
あるいは、この部分を埋める時、
どの様なやり方で埋めるのか、
どういうやり方を行うのか、
というものを選び組み合わせる。

これが戦術です。

この戦術として選んだ中で、
実際に具体的に、
例えばどのような道具を使う、
どういう手順でやる
というものが戦技、戦う技術
に当たります。

実際には、戦略があり、
その下位概念として戦術があり、
さらにその下位概念として戦技があります。

これを図に置き換えてみると、
戦略があり、次に戦術の部分は、
戦術という言葉を使ってもいいですし、
あるいは、施策といった内容になります。

そして戦技の部分は、
実務、実際の業務、業務のやり方と
捉えることができます。

このような構造になっています。

大局的に見るとか、
局所的に見るということではなく、

明確な階層構造と
それぞれの範囲に役割分担があることが、
戦略と戦術の大きな違いです。

 

戦略の重要な要素

そしてもう一点、
戦略を考えるときの重要な要素があります。

戦略は、先ほどお話したように
経営・事業の目的、
経営・事業の将来の姿と

今現在の経営・事業の
状態・状況との差を
どのように埋めるのかという事なので、

そこには経営資源の配分が、
必ずついてきます。

経営資源としては、人・もの・金、
それに情報が入ってきますが、
大きくはひと・もの・金の部分です。

これをどの様に配分するのか
ということが戦略には必ずついてきます。

よくある話ですけれども、
年度計画などを作るときに、

今までやってきた内容に加えて
今期はこれを新たにやると打ち出されます。

しかし、多くの場合、
ほとんど実行されないことが少なくありません。

なぜならば、
新たに取り組む部分に対して、
経営資源を配分することをせずに、

単純に今期はこれを新たにやるぞ
と打ち上げ、
それを関連する部署に
やるようにと指示を出しているだけ
という状況なのです。

実際のところやることはありませんし、
やったとしてもなかなか進まない、
予定通り進まない状況が起きます。

 

社員は取り組まない

ちょっと考えていただきたいのです。

今現在行っている業務があります。

これが本来、経営・事業の目的、将来の像を
実現するための戦略に沿っているかどうかは
少し脇に置いておいて、

現実に今行っている業務があるとき、
それに社員は携わっています。

携わっている社員は、
暇な中でその業務を行っているのか、

今の業務をやっていても
時間が結構ありあまって暇なのか

というと現実問題
その様なことはありません。

効率が良いか悪いかは
少し脇に置いておいたとして、

社員は今の業務に
かなりの時間をかけて
取り組んでいる実情があるわけです。

この状況で、新たにこれをやる
と今期は決めたから、

そして、それをやる部者が
あなたの部署だから、

これをやるように計画しなさい
と言われたらどうなるでしょうか。

今現在の業務をやらなければいけない。
もうそれで労働時間の
かなりの時間を割いているなかで、

新たにやらなければならないことが
来たとしたらどうなるかといえば、

現行の業務を最優先にして、
新たな業務には、
なかなか取り掛からない状況が生まれます。

 

戦略と経営資源の配付

新たに何かをやろうとか、
こういうことをやるんだとするならば、
資源の割り当てをやらなければいけません。

今の組織に人がいるから、
そこに仕事を割り当てれば良い
ということではなく、

今、行っている状況で仕事があるならば、
新たに仕事をやらせるときには、

やらなくて良い仕事を取り除き、
やれるだけの余力を作り出し、
そこに新たな仕事を
やるようにすることが必要です。

そのためには、今、
現場の社員の仕事を剥がすことも必要ですし、

あるいは、別に新たに人を入れることも
必要になるわけです。

いずれにしろ、
新たな仕事に取り組むだけの
働く余力を作り出すことが必要です。

これが資源の配布です。
人的資源の配布です。

当然そこには、何かしらのものが必要だったり、
外部を使うからお金が必要だったりします。

それらを割り当てることも必要になります。

戦略は、何をどういう順番でやっていくのか
という事なので、

当然、新たなことに取り組む時には、
場合により、今までやってきたこの部分を
やらなくて良いとか力をかける比率を下げる
の様なことをします。

これも経営資源の配布に当たります。

会社が所有する経営資源、
ヒト・モノ・カネには限り、
限度があります。

従って、その範囲の中で
新たな仕事をすることになれば、

力をかけるかけ方を
変えることが必要です。

より力をかけるところ、
新たに力をかけるところがあると同時に、
力をかけなくなる部分も当然あります。

この力関係を明確にした上で、
資源配付を伴った形で戦略を設定しなければ、

実現する戦略に沿った行動を
することは起きません。

そして、この資源の配付は、
戦略の中でしか行われません。

 

戦略とは意思

戦略は、この図1では、
一つの経路を示していますが、

最初に戦略の説明したように、
力をかける領域があるからです。

力をかける領域がいくつかあり、
その中でこういう手順でやろう、
ということがあるので、

その中で、例えばこの領域には、
今までよりもより資源を投下して取り組む、

逆にこちらの部分は、
資源をできるだけ投下せずに、
今までのやり方をそのまま継続する
といったような力関係が発生します。

これは領域と言ってますが、
当然、部門にも当てはめることができます。

この様な形で予算を配付します。

これは経営のレベル、
あるいは、個別の事業で事業予算を持っていれば、
事業レベルでしか配付できません。

戦術は、戦略の下の概念でした。

戦略があり、その中身を実現するために、
何を持ってきて、どういうやり方でやるのか、
というものが戦術なので、

戦略の部分で配布された資源を使い、
それを割り当てることしかできません。

ですから、資源配付は、
戦術の部分では起きません。

戦略が策定され、
年度計画として戦略をブレイクダウンした
戦術が作られた時点で、

年度予算は反映されていますので、
資源配付はすでに終わっています。

戦術を実施する時には、
資源配付は行われません。

このように、戦略は、
会社あるいは事業として、
どこに注力するのか
という意志が働いていることが、
資源配付の観点から明らかになります。

戦術は、どこに注力するのか
という意思ではなく、

この戦略を実現するために、
どういうやり方が最も効果的かを
選ぶ部分しかありません。

そしてそれを実行する部分しかないので、
資源配付は伴っていません。

資源配付を伴うのか、伴わないのか
という点が、戦略と戦術の大きな違いです。

この観点から考えた時に、
戦略を考えることは、
当然、資源の配付が行われていることです。

現実には、戦略を考えた時に
資源配付をしているかと言うと、
ほぼ行われていません。

最初にお伝えしたように、
この資源配付がされていないために、

戦略に沿って今期こういうことをやる
ということを掲げたとしても、

そしてそれをこの部門とこの部門がやる
と割り当てたとしても、

結局それを実行する資源がないので、
特に人的資源がないので、
結果として行われない状況、
あるいは行ったとしても
少ししかやられない状況が起きています。

戦略を考えるときに重要な要素は、
戦略は、今現在の経営・事業の状態・状況と
経営・事業の目的、将来像とのギャップが
明確になっていることが大前提であり、

それに沿って戦略を作る時には、
必ず経営資源の配付、
ヒト・モノ・カネの配付を行い、

ここに注力する、ここは注力しない
といったことを明確にする。

これが戦略には絶対必要です。

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