成果を手にする戦略の構造

公開日:2019/10/03

更新日:2019/12/22


こんにちは。

売上と社員のやる気を一度に伸ばす事を支援する
ウィズスマイル降旗(ふるはた)です。

今回は、戦略と他の経営の要素、
計画や施策との関係性を明らかにします。

(動画再生時間:20分16秒)

(BGMには、音楽素材MusMusの楽曲を使用しています)

4回にわたり、
戦略っていうのは何なのかという観点と、
戦略を導き出すために
どの様なポイントを押さる必要があるのか、
という点をあなたと共有してきました。

参照:「戦略」に重要な差・ギャップ
参照動画(あるいは下の画像をクリック) 11分16秒

参照:戦略に理念、ビジョンが使えない理由
参照動画(あるいは下の画像をクリック) 15分39秒

参照:目的、将来像に必須の観点
参照動画(あるいは下の画像をクリック)8分23秒

参照:成果に直結する戦略の要素:忘れられた観点
参照動画(あるいは下の画像をクリック)14分39秒

事業戦略が経営の根本

これらの中でも少し触れていますが、
戦略については、経営戦略、事業戦略という言葉を使い、
説明をしてきました。

経営戦略、事業戦略と他の経営での要素と
どの様な関係性になっているのか。

この点をしっかり押さえ、
その中で戦略を考えていく
ということをやらないと、

折角、検討して作り上げた戦略を
うまく活用することが難しくなる状況を
いろいろ見てきました。

戦略の話の時には、
先ほどお伝えしたように
経営戦略、事業戦略という言葉で
お話をしてきました。

この経営戦略と事業戦略。

この2つの戦略の関係性を
明確に説明することが、
あなたはできるでしょうか?

いかがですか?

経営戦略と事業戦略。

この関係性は、会社の状況により、
少しずつ変わってくるので、
この点から明らかにします。

会社あるいは経営は、
事業を行うことによりお客様に価値を提供し、
その見返りとして対価を得て、
それを利益につなげます。

その利益を使い、
会社として成長していく構造になっています。

したがって、
根本的に重要な部分は事業戦略です。

お客様に価値を提供し、その対価を得る。

そこで利益を出す部分を明らかにし、
そのための道筋を作り上げる事業戦略が、
一番の基本です。

 

経営戦略と事業戦略の関係

では次に、事業戦略を基本にした時の
経営戦略の位置づけです。

会社を立ち上げたばかりの時、
あるいは立ち上げでしばらくの間、
一つの事業を中心に利益が出る様になっている状況では、
事業戦略と経営戦略はほぼ一致します。

ほぼ同じものと考えることができます。

次にこの事業がだんだん成長し、
利益を安定して出せるようになると、
この事業自体で戦略を練り、
成長させる部分はありますが、

会社全体で考えた時には、
次に新たな事業を考え、
新たな事業に進出する部分も出てきます。

経営戦略と事業戦略の関係性で考えると、
経営戦略の方がより幅広い部分を
カバーして戦略をつくる必要があります。

前回で使ったような、範囲を示す形で図解すると、
図1の様な関係になります。

  図1

会社として、この様な形でやろうという
経営戦略の部分(青い枠)があります。

それに対して、
お客様に価値を提供し、
その対価を得て利益を出す事業の戦略は、

図の黒枠線内で、
経営戦略(青枠線内)に含まれる関係性です。

経営戦略と事業戦略の間に差があります。

この差は、例えば、既存の事業とは別に、
新たに事業を立ち上げるために調査をするとか、

研究開発をするとか、
あるいはそのための人材を育てる
の様な要素がこの差の部分に含まれます。

この様な部分は、
既存の事業の中で扱うことではないので、

これらの差の部分について、
こういう状態を経て、
そこから新しい事業を生み出すようにしよう、
の様に練らなければなりません。

これは事業戦略ではなく、
会社として行うことなので、
経営戦略の範疇に入る関係性です。

 

複数事業と経営戦略

ひとつの事業が成長し、
さらに新たに別の事業を行い、
一つの会社の中で複数の事業をやっている
という状況になる時、

経営戦略と事業戦略の関係性は
どうなるでしょうか?

一つの会社がA事業とB事業という
2つの事業をやっている場合の
経営戦略と事業戦略の関係を図解すると
図2の様になります。

  図2

A事業の事業戦略があり、
B事業の事業戦略があります。

この会社の経営戦略は、
A 事業の事業戦略とB事業の事業戦略を
当然含見ます。

さらに、経営戦略と複数の事業戦略には、
差の部分が生じます。

この差の部分は、例えば、
財務とか、次の新しい事業を展開するための
M&Aに関することとか、
あるいは、そのための人材を
どの様に確保し育てるのか、

新しい事業のための研究開発、調査に関する部分が、
この差の領域に含まれます。

この中で、どの様な状態を経て、
最終的に次の新しい事業を作るのか、

A事業、B事業の成長に合わせて、
どの様な形で資金調達をし、
財務を成り立たせていくのか、

さらに新しい事業をやる時には、
どの様に資金調達をするのか、
といった内容が、

この差の部分に、戦略として、
どの様な道筋、どの様な状態を経て、
この状態にもっていくのか、
という内容が組み込まれます。

 

事業戦略で既に終了

ここまで見ていただくと、
あることに気づかれると思います。

世の中の多くの書店等で、
ビジネス関係の書棚、
あるいはアマゾンなどで調べると、

例えば、営業戦略とか、物流戦略とか、
IT戦略、マーケティング戦略、
あるいは財務戦略の様な言葉を含む書籍が、
たくさんあります。

私が何回かに渡り、
戦略の話をしている時に、

人事戦略とか、物流戦略、IT戦略、
財務戦略の様なことは、
出てきませんでした。

出てくる言葉は、経営戦略と事業戦略です。

人事戦略、マーケティング戦略、IT戦略、
物流戦略、財務戦略の様な言葉が、
世の中には溢れていますが、

実際、会社の経営を考えたときには、
この様な戦略は関係ありません。

というよりも、戦略としては扱えません。

例えば、先ほどの複数の事業を行う
会社の場合で考えると、

例えば、A事業の中で、
どの様に人材を育てるとか、
どうやって営業やるという部分で、
人材戦略、営業戦略があるのではないか、

B事業の中でも、
同じようにあるのではないか、
ということは考えられると思います。

しかし、これらの点は、
A事業の中で、

すでに戦略として、
どの様な状態を経て、最終的なA事業の目的、
あるいはA事業の将来の姿を
実現するのかという内容が、
戦略として出来上がっています。

その状態を作るために、
どういう人材、社員が必要なのか、

あるいは、例えば、
どの様な物流の環境が必要なのか、
どの様なIT環境が必要なのか、
という様なことは、

既にそれぞれの事業戦略ができた時点で、
設定されてくるものです。

新たに人事の戦略、物流の戦略という形で、
A事業、あるいはB事業の中で、
それを括り出して検討することはありません。

それぞれの事業の中で、
既に資源配付が終わっているからです。

 

戦略の様で実は戦術

こういう状態にするには、
これだけの、この様な資源が必要だ
ということは、それぞれの事業で
配布・配分し終わっています。

それを新たに、例えば物流の組織とか、
ITの組織の中で配分し直すことはありません。

したがって。

これらは戦略ではなく、
戦術の要素でしかありません。

同じことはB事業にも当てはまります。

したがって、A事業、B事業、
それぞれの中に、
事業戦略の下位の概念として、

人事戦略とか物流戦略、
ITi戦略などはありません。

A事業の事業戦略の中で、
単純に人材に関しては、
こういう状態にこの時にする。

あるいは、
ITに関してはこの状態にする
ということがあるだけです。

 

意思決定できなくなる

このことを考えると、
B事業にも同じようなことがあるので、

会社全体として横串にして、

人事に関する戦略があるとか、
物流に関する戦略があるとか、
ITに関する戦略のあるとか、
営業に関する戦略がある、

のではないかという考え方があるでしょう。

それを図解すると図3の様に表すことが出来ます。

  図3

経営戦略という大枠の中に、
A事業の戦略、B事業の戦略があり、

それに対して、例えば、
人事という横串の戦略を立てる、
ITという横串の戦略を作る、
物流という横串で戦略を作る、
営業として全体を見た時の戦略を作る、
との考えになります。

この様なマトリクスです。

マトリクスは、物事を整理をするときには
非常にわかりやすいですが、

マトリクス型にして事業を運営する、
会社を経営することは極めて難しいです。

その理由は、A事業の戦略、B事業の戦略は、
事業として、この様な段階を経て
ゴールにたどり着く意思決定をしています。

それに対して、人事として、
こういう風にやるんだと戦略として認めた場合、

最終的にどちらの意見を
より優先して行うのかとの判断が
極めて難しくなります。

人事とか、IT、物流、営業、マーケティングなどは、
本来、事業を行う際の一要素でしかありません。

したがって、どちらがより優先度が高いか、
重要視されなければならないかといえば、

人事、IT、営業、マーケティングなどの
カテゴリー、業務の領域ではなく、

事業としてどの様に行うのか、
という方が重要度はより高いです。

それを考えたときにも、
事業間をまたがり、人事、IT、営業、
マーケティングという業務領域で
戦略を立てることは、
意味がない、ナンセンスです。

 

事業戦略に必要なだけ

重要なことは、
事業として、
どの様に成長させて行くのか、

その中で価値を
どの様に提供し、
対価を得るのかということです。

そこで、事業としての目的、
将来の姿を実現するために、
どの様な戦略を立てるのか、

その戦略を実現するとき、
例えば営業では、
この段階ではここまでにする、

物流ならば、この段階でここまでにする、
ITならば、この段階でここまでにする、

ということが必要になる、
という関係しかありません。

もちろん、実際にA事業、
B事業の戦略を立てるときに、

人事の部署、あるいはITの部署、
物流の部署などが
横断的に存在するならば、

事業部制とは異なり、
事業部の中にそれぞれ人事、IT、
物流、営業の部門がなく、

全社で横断的にやってるとすれば、
それぞれの戦略を作る段階で、
各部門とどの様にするのか
を調整するとか、

最終的には、経営の観点から、
資源配分をするわけなので、

横断している業務領域で、
改めて戦略を立てる必要性はありません。

 

◯◯戦略の位置付け

ではビジネス書などで出てくる、
例えばなになに戦略という
書籍の意味合いは
どういうことかといえば、

事業の中で、
例えばITとか、物流、営業の観点で
戦略を立てようと思った時に、
どの様な視点、観点、
あるいはどの様な領域をやると良いのか、
という一つの要素を
色々示しているということです。

その要素の中のこの中身は
こういうものだよという風に、
説明しているものだ、
と考えることができます。

例えばですけれども、
人事ならば、この様な制度を作ると
この様な状態になる、

そのためには、
この様な観点が必要だ
というような内容が、
書籍の中にまとめられているわけです。

自社の状況と合わせた時に、
それをどのタイミングでやるのかは、
会社の状態など、
あるいは、

それぞれの事業が目指している目的、
将来の姿によって変わります。

その様な関係性でしかない
ということです。

ですから。

戦略内容を色々並べて、
こういうのがある、
自分たち会うものがあれば選べる、
ということを見せています。

同時に、それぞれの中身が
ある程度書かれているので、

戦術の部分に対しても
判断ができます。

この様な要素が並んでいるものだ、
ととらえた方が良いと思います。

私たちはどうしても
耳障りの良い言葉に反応しやすいので、

戦略・戦術となった時に、
戦略という言葉の方が、
どうも格好良く聞こえるし、
より高尚なもの、レベルの高いもの
という風に聞こえる様です。

それがあるので、
何々戦略という言葉を
好んで使っているだけです。

実際は戦略の中の一要素、
戦略を考えるときの要素でしかないです。

あるいは、
戦術の一部でしかないことは、
分かった上で内容を読み、

必要な要素だけを抜いて、
自分たちが事業戦略、
あるいは経営戦略を考えるときに、
はめ込めるものを有効に使う、
と考えるものです。

その観点から、
私たちは戦略と戦術を
明確に使い分けた方が、
分かりやすく、うまく活用できます。

ただし、実際問題として、
経営・事業を行っていくときに、
何々戦術という言葉を使うかどうかは
少し脇に置いて、

戦略を作ったら、
その下位概念として、
戦略を実現する時には
戦術が必要になります。

この戦術を、私たちは一般的に言うと、
施策あるいは、何々を実行する案
の様な形で使っている
という認識でいれば良いと思います。

今回は、経営戦略と事業戦略の関係、
世の中に溢れている、
例えばIT戦略とか、営業戦略、
マーケティング戦略の様な
業務領域が頭に付いた何々戦略との関係性、

それぞれどの様に使い考えるのかを
整理をしました。

次回は、それ以外の今まで扱ってきた
他の言葉、他の内容を含めて、
実際どの様な関係になり、
どの様に使えば良いのか

どの様な点を押さえておけば良いのか、
それによって戦略がうまく使えるか、使えいないのかに、
大きく差が出てしまうので、
その点についてあなたと明らかにしたいと思います。

 

無料レポート