トップに必要な能力:社長の発想・考え方(8)

こんにちは。

売上と社員のやる気を一度に伸ばす事を支援する
ウィズスマイル降旗(ふるはた)です。

社長、経営者として
知っておいた方がプラスになる
根本となる考え方、判断基準を

兵法書や戦略書、帝王学や
将としての心得などから紐解き、
マネジメントに活かすための第8回目です。

今回は、何度か取り上げてきた
「統帥綱領」からです。

【今回の内容の動画】(動画再生時間:13分27秒)

(BGMには、音楽素材MusMusの楽曲を使用しています)

【前回までの内容】
戦略を学び活用する意味:社長の発想・考え方(1)
内容の動画(下の画像をクリック:10分08秒)

成果は上下で合わせ手に入る:社長の発想・考え方(2)
内容の動画(下の画像をクリック:9分02秒)

成果のために最初に決めること:社長の発想・考え方(3)
内容の動画(下の画像をクリック:9分17秒)

成果を得るための情報の扱い方:社長の発想・考え方(4)
内容の動画(下の画像をクリック:10分47秒)

リーダーとして根本に必要なこと:社長の発想・考え方(5)
内容の動画(下の画像をクリック:12分00秒)

「意思決定」の根本となる重要なこと:社長の発想・考え方(6)
内容の動画(下の画像をクリック:11分23秒)

成果のためには指示しない:社長の発想・考え方(7)
内容の動画(下の画像をクリック:10分12秒)

トップに必要な能力

「将師は事務の圏外に立ち、
超然として常に
大勢の推移を達観し、

心を策案ならびに
大局の指導に専らにして、

適時適切なる決心を
なさざるべからず。

これがため将師は、
責任を恐れざる勇気と
幕僚を信任する度胸とを必要とす。

幕僚特に参謀長を信頼せず、
しかもこれを更迭する
英断なき将師の統帥は失敗する。」

将たる者は、戦況の進展、
部下、特に幕僚の業務の進捗を
的確に認識していなければならない、
ということが記されています。

それとともに、
さらに重要な点は、
「白を白、黒を黒」と
冷厳に見出す能力です。

この能力が不足すると
ピンチとチャンスの見分けが
つかなくなる可能性が
極めて高くなります。

このことは、
トップが頭脳を冷静に保ち、
適切な判断をすることが重要だ
ということです。

そのためには、
煩雑な事務処理は
スタッフに委任し、
雑務から開放されなければ
なりません。

トップは重大な責任を負っており、
状況の推移に一喜一憂して
いてもたってもいられない心境に
なることが普通でしょう。

一般にスタッフよりは有能で、
先が見えてしまうので、

スタッフの仕事を座視できず、
ついつい口出しをしてしまい、
事細かく指示をしてしまうことも
少なくありません。

この気持ちを抑えて、
「策案と大局の指導」に
専念するには、

大変な勇気と度胸が
トップには必要となります。

トップにこの勇気と度胸があっても
これに応える能力と資質・性質が
スタッフに無いならば、

思い切って
更迭できなければならない、
とこの内容は示しているわけです。

将師と幕僚長が一心同体で、
信任と信頼が強固だった例は、

日露戦争の大山巌満州軍総司令官と
児玉源太郎総参謀長、

対ナポレン戦におけるプロシアの
ブリュッヘル司令官と
グナイゼナウ参謀長
などがあげられます。

逆に、参謀長を信頼せず、
更迭することができず失敗した将師は、
日露戦争のロシア軍クロパトキンが
あげられるでしょう。

日本の経済界では、
本田宗一郎氏と藤沢武夫氏、

一時期の孫正義氏と北尾吉孝氏の関係は、
信任と信頼が強固で
うまく行った例でしょう。

今回の内容を簡単に整理すると、

1)煩雑な事務処理は、
信頼できるスタッフに任せる。

2)実務側の責任者を
信頼できない将師、
あるいは、
実務側の責任者を信頼できない時に
更迭できない将師は失敗をする

という2点です。

 

任せられない?

まず1)の点。

経営トップである社長、
経営者の方が、
日々の業務、実務を
スタッフに任せる点からです。

正直に申し上げると、
この事が難しい状況の方が
とても多いです。

細々とした実務に関心を示し、
自らそこに関わり行動するので、

本来おこなうべき大局を見て、
的確に指示をすることが
できない状況の方が多いです。

決断しなければならないのに、
それをせずに、
目の前の実務に
没頭をしてしまいます。

他の事もやるし、
必要な決断はしている、
とおっしゃる方も
いらっしゃるとは思いますが、

実際には、
意思決定が遅れる、
必要な指示ができない、
思考がブレる、
という状況が起きています。

そのために社内が混乱し、
決まるべき事が決まらず、
物事が進まない状態が
現実には社内に生じています。

本来変わるべき事が変わらず、
混乱と無駄が繰り返されます。

社長、経営者の方は、
この状況に多くの場合、
気づいていません。

「どうして言ったことを
やらないんだ。」

「こんなにやっているのに、
なぜ進まないんだ。」
と思っています。

それ故に、
部下の発言にイラつき、
怒鳴り、怒ります。

原因は部下にあるのではなく、
社長、経営者のあなた
にあることも少なくありません。

 

トップが関わること

あなたが実務に手を出し、
細々としたことに手を染め、
職位を飛び越して
一般社員に指示をすることで、
社内が混乱します。

あなたが関わる実務は
進むかもしれませんが、

会社としては混乱し、
進むことも進まず、
状況は変わりません。

会社のトップである
社長、経営者のあなたは、
本来どこに注意を払うべきか、
ということです。

個別の事業の細かい内容か。
それとも、会社として
やるべきことをやる事か、
ということです。

事業=経営で、
規模がまだ小さいならば、

社長が実務に関わる比率は
どうしても多くなる事は、
致し方ないでしょう。

しかし、従業員が多くなり、
核となる事業があるならば、

既存の事業は元より、
新規に取り組む事も
実務の面はスタッフに
任せる方が好ましいでしょう。

経営全体の方向性、
経営としての問題、課題、
それぞれへの対応状況、

個々の事業全体の状況、
そこでの問題・課題と
それぞれへの対応状況、

経営、事業としての後方支援、
要員の採用や補充、人員配置、
資金調達

などを把握し、
適切な対応が
できているのかどうかを

社長、経営者の方は
経営のトップとして常に意識し、
対応する必要がある、
ということです。

 

当たり前ができない!

次に2)の点について。

実務はスタッフに任せる事が
1)の要点でした。

ということは、
実務を任されるスタッフを
社長、経営者のあなたは
信用できなければなりません。

裏を返せば、
あなたが信頼できる人材を
実務のトップには据える必要がある
ということです。

据えた要員が適任ではない、
信頼できないと、
社長、経営者のあなたが考えるならば、
更迭しなければならない、
ということでもあります。

この点はどうでしょうか?

当たり前といえば当たり前
のことですが、
できずにいるケースは、
少なくありません。

多くの理由が、
「大変だっと時に、
一所懸命にやってくれたから」
とか、

「昔から働いて
くれているから」の様な
人情に基づくことが多いです。

情を重視することは
悪くはないですが、

それで経営が滞る、進まない、
変わらないとしたら、
あなたはそれで
良いのでしょうか?

大変失礼な言い方とは思いますが、

「良い」とするならば、
そもそも会社は今のままで良いし、

変わらなくても
今のままで満足している、
ということになりますが、
それで納得されますか?

今のままで働く社員は、
そのままでいいんだと、
あなたは割り切れますか?

より働きやすくしたい。
働きたい人が集まる様にしたい。
より報酬をたかくしたい。
有能な人材が働きたい会社にしたい。
考えていることに更に取り組みたい。

このようなことが
今のままで実現するならば
何も変わらなくても良いでしょう。

しかし、今のままでは難しい
と考えるならば、今の状況を
打破しなければなりません。

それには、今の状況で
変えるための行動ができない、

変えるための
リーダーシップを発揮できない、

その様な実務の責任者は、
あなたにとって適任でしょうか?

適任でないとしたら
どうしたらよいでしょうか?

答えは明らかだと思います。

 

現状を変えるために

適任者をそのポジションに
据える以外に方法はありません。

もちろん、その前に、
今任せている人に話をして、
彼自身が変わるチャンスを
与えることは必要です。

辛口で言うと、
そのことに自ら気づかず、
行動を変えられない時点で、
本来は更迭されても
致し方ないでしょう。

今、そのポジションにいる人は、
新入社員や若手の社員
ではないでしょう。

実務の経験があり、
統率するだけの能力があると
あなたは認めた方でしょう。

ただ、能力が不足していたのか、
そのポジションにいるうちに、
能力の発揮の仕方を誤ったのか。

いずれにせよ、
今現在は適任ではない、
ということなので、

それ相応の対応として
更迭しなければ、

社長、経営者の
あなたの能力が疑われ、
ついて行く社員は減って行く
可能性が高まるということです。

しかし、多くの場合、
更迭することができません。

先ほどもお伝えした様な

「大変だっと時に、
一所懸命にやってくれたから」
とか、

「昔から働いて
くれているから」

の様な情を持ち出して、
更迭することを躊躇います。

更迭できずに、そのままで
なんとかしようとします。

会社、事業の状況が、
良くなることはありません。

あからさまな更迭を
しなければ良いだけのことです。

肩書きの付け方とか、
給与はそのままにするとか、
やり方は、考えれば
いろいろあります。

重要なことは、
今のポジションから外して、
必要なことが進む様にすることです。

無料レポート